羽アリの結婚飛行の時期はいつ?【完全解説】

アリの飼育に夢中になると、いろいろなアリを飼育してみたい!という衝動に駆られますよね。そんなとき知っておきたいのは、「アリの結婚飛行」の時期でしょう!アリは羽アリをある一定の季節に飛ばす習性があります。その習性を結婚飛行といい、新女王アリと雄アリが交尾をし、新たな巣を作るのです。
アリの飼育をしている方ならご存知でしょうが、アリの飼育を始める一番最初のステップは「女王アリを手に入れる」ことから始まります。それほどアリの飼育に女王アリは欠かせないのです。ということで、日本に生息する主なアリの羽アリが飛ぶ時期をまとめますので、女王アリ採集の参考にしてみてください!(主に関東地方での結婚飛行時期です。西日本や北日本などでは記載の時期にズレが生じますので、その点ご留意くださいね!

春(4月〜6月)に結婚飛行するアリ

4月から6月ごろに羽アリを発生させるアリは、日中に結婚飛行を行う種類が多いです。全ての蟻に言えますが、雨上がりなど高湿度で日中温度が上がり暖かい日に発生することが多いです。また、飛行には風速も少なからず影響するようです。
また、4月は一年で一番最初の羽アリ発生シーズンです。その中でも、先陣を切って飛び出すのが「クロナガアリ」。その後、4月下旬になるとクロオオアリやアメイロアリなどの羽アリも発生し始めます。

クロナガアリ

例年4月中旬から下旬が羽アリ発生シーズンですが、早いと3月下旬から4月上旬に結婚飛行が行われます。基本的に温暖な地域から徐々に発生時期は北上します。クロナガアリの羽アリ発生は昼前から午後の暖かい時間帯に多く、タイミングによっては午後4時ごろまで飛行が見られます。
クロナガアリはイネ科の植物が多く自生する原っぱや公園、畑などに多く生息する蟻で、日本で唯一、植物の種子を主食にする蟻でもあります。

クロナガアリの女王アリ
飛行後は女王アリが集団となり新しい巣穴を掘り進めます。結婚飛行当日または翌日に巡り合えば、新しい穴をほっている新女王アリを見つけることができるでしょう。コロニーの立ち上げには、女王アリ5匹程度と石膏巣、または試験管巣の組み合わせが最適です。

クロオオアリ

クロオオアリ
5月が発生のピークですが、4月下旬に結婚飛行を行うことがあります。クロオオアリと言えば、日本最大の大きさを誇るアリです。女王アリは体長18mmにもなるため、タイミングがあえば道端でも簡単に見つけることができます。

関東の平野部では公園や道端、お台場などの臨海部でも普通に見られるため、結婚飛行に遭遇すると短時間で沢山見ることができるでしょう。

結婚飛行の時間帯は主に午後で、夕方までの間に完了します。このアリは基本的に単雌コロニーを構成するため、複数の女王を一緒に飼育しないようにしましょう。

アメイロアリ

4月下旬に発生するアリの中では小さな部類です。アメイロアリもピークは5月となります。羽アリは小さく、5mmにも満たないほどです。このアリは正午ごろに飛び出すことが例年多い種類です。他種は飛行中に交尾をするのに対し、アメイロアリは地上で交尾します。女王アリは単独で、石膏巣や試験管での飼育が適します。
アメイロアリ
森林公園など森林内にアスファルト舗装された道がある場所では、飛行後にアスファルト上を徘徊する女王アリを沢山みることができるでしょう。

ムネアカオオアリ

クロオオアリと同じく、日本最大のアリとしての地位を分け合う種類です。女王アリについてはクロオオアリよりも見た目が大きく感じるため、日本最大はムネアカオオアリではないか?という説も囁かれているとかいないとか。ムネアカオオアリは山地の森林帯に生息する朽木営巣性です。

ムネアカオオアリ
住宅街などでは見かけることはありませんが、山麓などでは5月ごろから羽アリを見ることができます。また、垂直分布でみると、標高2000m近い亜高山帯にまで生息するため、標高が高い場所では結婚飛行が7月〜8月にずれます。

湿気を含む枯死木に生息するため、湿気を含む状態を維持できる石膏巣でも問題なく飼育が可能です。

ヨツボシオオアリ

生きている樹木の洞などに生息する樹上営巣性のアリです。地上を歩く姿はあまり見ることができないため、普段の生活では馴染みが無いかもしれません。このアリは主に5月の日中に結婚飛行が行われます。そして、立木の幹で羽を落とした女王アリをみることができます。樹上営巣性のため強い湿気を好まず、高湿度の環境となる石膏巣との相性は悪いです。女王アリ単独で、ある程度の乾燥を維持できるケースでの飼育が望まれます。
ヨツボシオオアリの羽アリ

ミカドオオアリ

ミカドオオアリの女王アリ
枯れ枝や竹の空洞に巣を作るアリです。夜行性のため働き蟻を見る機会はあまりありませんが、結婚飛行の時期は新女王アリを見かけることが度々あります。私自身、実際の結婚飛行を確認したことはありませんが、夕方〜結婚飛行が行われている可能性があります。ヨツボシオオアリ同様、女王アリ単独で、高湿度にならない環境で飼育をします。

クロヤマアリ

クロヤマアリの女王アリ
5月から6月にかけてダラダラと長く結婚飛行が行われるアリです。関東地方の最普通種で、最も女王アリを見かけるアリでもあります。クロヤマアリはいわゆる隠蔽種が存在し、4種に分けられることから結婚飛行の期間もその分長いのかもしれません。
午前中に結婚飛行が行われ、午後には羽を落とした女王アリを見ることができます。道路上や公園などいたるところで採集が可能です。飼育は関東地方で採集した個体であれば女王アリ単独で、石膏巣を用いた飼育がおすすめです。早いと1ヶ月ほどで最初の働き蟻が誕生します。

トビイロシワアリ

最も普通に生息しているアリの一種で、2.5mmほどの黒く小さなアリです。6月中旬から7月にかけて羽アリを飛ばします。午前中の早い時間帯に結婚飛行をおこない、昼前には羽を落とした女王アリを採集することができます。ただし、夜にも飛行がみられるため条件が良ければ一日中見られることがあります。女王アリは7mmほどです。

多雌性で、コロニー立ち上げには複数の女王アリを同居させることが可能です。トビイロシワアリの飼育は、石膏巣などでの飼育が適しています。また、飼育下でも非常に大きなコロニーに成長させることも可能です。

クロクサアリ

アリに一時寄生するアリとして有名なクロクサアリ。自然界ではアメイロケアリ類に寄生します。5月下旬から7月が羽アリ発生時期です。こちらも結婚飛行に出会ったことがない種類ですが、早朝や夕方に羽を落とした女王アリの観察事例があります。立木の根本に巨大なコロニーを構築し、行列を作り行動します。女王アリの体長7mm程度。

寄生種のため、クロクサアリの女王アリだけでは飼育することができません。飼育下ではアメイロケアリ類のほか、トビイロケアリのコロニーに寄生させることも可能です。

アメイロケアリ

クロクサアリ同様に一時期性するアリです。トビイロケアリのコロニーに寄生します。6月から7月(8月)が結婚飛行シーズンです。夜間に飛び出し、街灯などに集まることがあります。生息地では、羽を落とした女王アリが早朝に地上を歩いている姿を見ることができます。
また、日中飛行し夕方に翅を落とした新女王を見かけることもあります。

アメイロケアリは基本的に結婚飛行シーズン(6,7月)と10月ごろしか地上に姿を現さないため、珍しい種類と思われがちですが、トビイロケアリが生息している場所では比較的アメイロケアリのコロニーも見つかります。また、アメイロケアリに非常に似たアリである「ヒゲナガアメイロケアリ」もほぼ同じ時期に結婚飛行を行います。

アメイロケアリ
寄生種のため、単独での飼育は不可能です。飼育には、最低でもトビイロケアリのワーカー5匹以上、繭50個程度と一緒に立ち上げると、飼育が成功する可能性が高まるようです。

夏(7月〜8月)に結婚飛行するアリ

7月から8月を中心に羽アリを飛ばすアリは、平野では夜間に結婚飛行を行う種類が多く、日中結婚飛行を行う種類は山地に多いです。夏の場合も結婚飛行をおこなう指標となるのが、天気、気温、湿度、風速です。
主な種類は、アズマオオズアリ、アシナガアリ、ヒラアシクアサリ、ウメマツオオアリ、ムネボソアリ、トビイロケアリ、オオハリアリ、ハヤシクロヤマアリ、アカヤマアリです。

オオハリアリ

東日本では7月(早いと6月〜)ごろを中心に結婚飛行を見ることの多いハリアリの一種です。ハリアリの仲間では唯一住宅街などでも見かけられます。地域ごとに羽アリ発生時期は異なるようで、6月から9月ごろまでオオハリアリの新女王アリを見つけることができるかもしれません。

ハヤシクロヤマアリ

森林に多く生息するハヤシクロヤマアリは、平地に多く生息するクロヤマアリよりも遅く結婚飛行をおこないます。7月中旬から8月にかけて結婚飛行が行われることが多いため、この2種を見分ける一つのポイントになるのが5,6月ならクロヤマアリ、7,8月ならハヤシクロヤマアリの疑いが強くなる、と言えるでしょう。クロヤマアリより大型で、自然下ではわずかにゴールドを帯びる体色が美しいアリです。クロヤマアリ同様に、女王アリ単独で飼育が可能です。

ヒラアシクアサリ

ヒラアシクアサリの女王アリ
以前はクサアリモドキの名前で有名だったアリです。7月ごろの夜間に結婚飛行が行われ、羽を落とした女王アリを早朝に見かけることができます。クロクサアリに似ており、トビイロケアリに寄生するアリです。
女王アリ単独での飼育は不可能で、飼育下ではケアリのコロニーが必要となるため難易度の高い種類といえます。

トビイロケアリ

ケアリの女王アリ
7月に結婚飛行を行うアリの代表種。早いコロニーでは6月から小規模の結婚飛行が始まります。夜間に結婚飛行をおこなうため、街灯や自動販売機などの採集が容易です。また、早朝に付近を歩く女王アリを見つけることもできます。自然界では主に樹木の根本付近に巣があることが多く、樹木の多い公園では最もよく見られます。
飼育も簡単で、女王アリ単独で石膏巣との組み合わせにより初年度で上手くいくと100匹を超える働き蟻を羽化させることもできます。働き蟻、女王アリともに動きが機敏で、デジタルな反応が可愛らしくおすすめです。

アズマオオズアリ

7月下旬から8月にかけて羽アリを発生させるアリです。近縁のオオズアリよりも寒さに強く、山地の林内などの環境でより見られます。女王アリは7mmほど。働き蟻は2mmと小さいですが、兵アリという階級のアリが存在し、4mm弱で頭部が大きく発達した個体がコロニー内に一定数みられます。飼育は単雌性のコロニーもあれば多雌性のものもあります。石膏巣の組み合わせで飼育が可能です。

アシナガアリ

東日本では湿潤した山地に多いアシナガアリは、7月〜8月に結婚飛行を行います。夜間から翌朝に女王アリを見つけられる場合が多いです。女王アリは10mmほどで大きく、女王アリ1匹で飼育を始めることができます。湿気を好むため、石膏巣との組み合わせが最適です。

ウメマツオオアリ

ウメマツオオアリの女王アリ
7月から8月に羽アリを飛ばし結婚飛行をします。枯竹や枯れ枝内に巣を作る樹上営巣性のアリです。主に夕方から夜間に結婚飛行が行われることが多いです。似た種類に、イトウオオアリやナワヨツボシオオアリがいます。基本的に、女王アリ1匹で飼育を開始しますが、こられの種類はどれも強い湿気を好まないため、湿度管理に気をつける必要があります。

ムネボソアリ

働きアリは2.5mmと小さいアリです。ムネボソアリは女王アリも4mmに満たないほど小さく、採集には集中力が必要です。主に枯れ枝や枯れ草の茎内に巣を作ります。7月の午前中に羽アリを飛ばし、日中に羽を落とした女王アリを道端で採集することができます。
同じフタフシアリ亜科に多雌性が多い中、このムネボソアリは単雌性のため女王アリ1匹で飼育を始めることが可能です。ただし湿気を嫌うため、飼育にはチューブを使うなどの工夫が必要です。

秋(9月〜11月)に結婚飛行するアリ

秋に結婚飛行するアリは、そのほとんどが結婚飛行後に巣穴をつくりそのまま冬眠する種類です。発生の条件は春、夏の羽アリと同じく天気、気温、湿度、風速に影響されます。
主な種類は、キイロシリアゲアリ、ヒゲナガケアリ、テラニシシリアゲアリ、ハリブトシリアゲアリ、アギトアリ、チクシトゲアリ、トゲアリ、トフシアリ、ヒラフシアリ、サクラアリです。

キイロシリアゲアリ

キイロシリアゲアリの羽アリ
9月に結婚飛行を行うアリの代表です。夕方から飛び始め、夜間のうちに複数の女王が密集して巣穴を掘り、新たなコロニーを作ります。光によく集るため結婚飛行当日の夜間には多くの女王アリを採集できる種類です。キイロシリアゲアリは飼育が容易でオススメなアリです。詳しくは個別の記事を御覧ください!

テラニシシリアゲアリ

9月ごろに結婚飛行をおこないます。キイロシリアゲアリと異なり樹上営巣性のため樹木の多い場所に生息します。夜に結婚飛行をおこなうため、夜間に採集することができますが、キイロシリアゲアリより数が少ないです。また、単女王制のため女王アリは1匹で飼育を始めることができます。また、7月の結婚飛行例もあるようです。

ハリブトシリアゲアリ

シリアゲアリの女王
テラニシシリアゲアリに似ており、生態も似ています。両者は胸部にある前伸腹節刺の形状で見分けることが可能で、長く尖っているとテラニシシリアゲアリ、短く太いのがハリブトシリアゲアリです。こちらも9月ごろに結婚飛行を行い、夜間の灯り周辺で女王アリを見ることができます。ハリブトシリアゲアリも単雌性のため女王1匹で飼育を始める必要があります。また、強い湿気を好まないため、乾燥しすぎない程度の環境で飼育をはじめましょう。7月〜8月の結婚飛行例もあります。

トフシアリ

ヒアリと同じトフシアリ属のアリ。働き蟻は1.5mmと小さく、女王アリも3mmと小型です。さらに地中性のアリのため普段地表で見かけることはほとんどありません。キイロシリアゲアリと同じく9月ごろに結婚飛行をしますが、こちらは午前中に羽アリを飛ばすため区別がつくでしょう。

サクラアリ

サクラアリの羽アリ
日本で最も遅く結婚飛行を行うアリです。時期は10月から11月が中心で、暖かい日の午前中を中心に羽アリを飛ばします。比較的どこにでも生息する種類ですが、非常に小さく1mm〜1.5mmにしかならないため人目につきにくいアリです。小型ですが、女王アリは単独で巣を創設するため複数を一緒に飼育を開始することはできません。
サクラアリについても個別記事を作りましたのでこちらも合わせて御覧ください!

まとめ

日本には280種以上のアリが確認されていますので、今回紹介させていただいたものは本当に一部です。でも、一般的に見かけやすいアリを中心にご紹介したので、まずはこの中の種類から見つけてみることをオススメします。個人的なおすすめは、春から夏ならクロヤマアリ、夏はトビイロケアリ、秋はキイロシリアゲアリです。これらの種類は女王アリが普通に歩いていることがあるので見つけやすいですし、飼育も簡単です。もちろんその他の種類でもOKですけどね。いまのところ一部のアリの紹介にしか写真を掲載できていませんが、写真の用意ができ次第、追加していきますね〜。

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