春の気配感じる山でアリ観察・採集をしてきました。

春が近づく3月。冬のアリ観察も間もなく終了ですね。クロヤマアリやハヤシクロヤマアリはすでに屋外で働きアリが活動するほど暖かく、他のアリたちも間もなく活動を始めることでしょう。

さて、2020年は暖冬ということもあり埼玉の山も標高の低い場所には雪の形跡が全く無く、既に春が始まっているような雰囲気でした。久々に朝から時間がとれた3月の半ば、今冬期シーズン最後のアリ観察に行ってきました。

初めて生で見るアリを観察することができたりと、なかなか楽しいアリ観察でしたのでブログ形式でまとめてみます。

廃道を行く

埼玉の山
埼玉の山々は昨年の台風19号の爪痕が今も残り、特に奥武蔵はほぼ全ての林道が通行止めになっています。私がよく通っていた山域も通行が不可能であり、この冬はとうとう訪れることができませんでした。

今冬は違う山域を中心にアリ観察・採集をおこなっており、今回もその山域を探索することにします。ただ、いつもの場所ではつまらないので、新たな場所を歩いてみることにしました。

埼玉の山々は色々と歩いているのですが、そのほとんどが現在でも登山道として使われる正規ルートです。そのため、今年はほとんど破線ルートの道を使いアリ観察をしています。

いわゆる「廃道」となっている道もあるのですが、国土地理院の地形図には破線でルートが残されています。それを頼りに今回も歩いてみました。

「廃道」ですから、そもそもの道の入口が全くわかりません。ルート上に標識もなければ目印もほぼありません。地図だけを頼りに山に入ります。(※地形図の読み方やルートファインディングができない場合は決して真似はしないでくださいね)

廃道
今回の道もこの通り。場所によってはかつての登山道らしき踏み跡が残されているのですが、道に塞がる倒木はそのままにされ荒れ果てた状態です。

人が入ってるか入っていないかは、登山道の落ち葉を見ます。人が頻繁に歩く場所は落ち葉が細かくなるため目が慣れればぱっと見て区別が付きます。誰も通らない登山道は、落ち葉がそのまま堆積します。晩秋から芽吹きの季節までは地形的な変化が無い限り、登山道は埋もれて見分けが付かなくなるのです。

アリはいるのか?

ウメマツアリ
こんな感じの山ですから、間違いなくアリはいるのでしょうが、山ではどういう場所を探せばいいのでしょうか。基本は、「増水しても水で流れない場所」であることや、「斜面よりも平坦な場所」であることが望ましいでしょう。

観察する場所は、「倒木の下」「石の下」「落枝」です。今回は、最初は落枝を、次に倒木を、最後に石の下を観察してみました。(歩きながらのため写真が少ない点ご了承ください)

落枝を探す

枝の中のアリ
まずは、今冬にちょっとだけ流行した落ちた枯れ枝からのアリ観察です。これは巣を破壊することになるため、基本的に採集に向いています。今回は、テラニシシリアゲアリのコロニーや単独女王アリ、ヤマヨツボシオオアリが見られました。この山域の枯れ枝からはこの2種が多く出ます。今回は見られませんでしたが、イトウオオアリやムネボソアリ属、ミカドオオアリもたまに見られます。ちなみに埼玉の他地域でよく見られるウメマツオオアリは全く見ることができません。

枯れ枝からアズマオオズアリ
アズマオオズアリの初期巣も観察することができました。アズマオオズアリは土中や朽木内に営巣しますが、初期では枯れ枝内に女王アリが単独で見られることがあります。

アズマオオズアリと幼虫
よく見ると幼虫も見られます。働きアリはまだ誕生していませんので、2019年の新女王と考えられそうです。

倒木を探す

トゲズネハリアリ
倒木は自分の手でひっくり返せる大きさのものを選びます。大きいほうが見つかる可能性は高いです。また、その場所に放置されてから動かず年月が経過しているものが良いでしょう。

トゲズネハリアリ
山で一番見かけるハリアリといえばトゲズネハリアリ。今回も至るところで観察することができました。

トゲズネハリアリとヤマトシロアリ
トゲズネハリアリとヤマトシロアリが同じ場所にいる倒木も。観察することはできませんでしたが、ヤマトシロアリを捕食している可能性もありそうですね。

初めて見るアリ

テラニシハリアリ
倒木をいくつか観察すると、やや黒っぽいハリアリがいることに気が付きました。写真で撮影しましたが、見た感じはハリアリ属のようです。(後ほどtwitterでもテラニシハリアリとのご助言をいただけました)。稀な種類では無いですが、私自身は初めて見る種類のアリです。女王も撮影したかったのですが写っていないですね…。

ウメマツアリ
ハリアリだけではなく、フタフシアリも見られました。この写真は数日前に観察したときのものですが、今回もウメマツアリが倒木下からみられました。複数の倒木から単独のウメマツアリが見られたため、すでにリター層で活動しているのかもしれません。

石の下を探す

石の下はアリだけでなく虫を観察するのに最適な場所です。アリを見つけるのであれば、長期間その場所から動いていないであろう石を探しましょう。そして、より地中に埋まっており大きめの石がベストです。

アズマオオズアリ
アズマオオズアリでしょうか。直径30cmほどの石下に巣がありました。

アズマオオズアリのコロニー
非常に大きなコロニーでしたが、女王アリが観察できなかったため写真撮影後は元の位置に戻しておきます。

カドフシアリ女王アリ
単独の女王アリ。女王アリに見えませんが、脱翅痕があるため女王アリで間違いなさそうです。改めて写真を見るとカドフシアリのようにも見えます。写真ではなかなか難しいですね。

カドフシアリ
ちなみに、30cmほどの石の下に1匹だけでいました。秋の結婚飛行後に単独で越冬したのでしょう。

終わりに

歩きながらだったので写真を多く撮っていませんでしたが、冬から春に季節が移り変わるこの時期でも面白いアリにたくさん出会うことができます。今回のアリはどれも珍しさで言えば大したことはないかもしれませんが、個人的には今まで生で見たことの無い種類のアリを観察することもできました。

やはり生でアリを観察するのは一番の勉強になりますね。実際にこの目で見ているからこそ分かる感覚的な印象を感じ取れるようになれるのは大切だと思います。そのためにも、やはり定期的にアリの観察に訪れて最新の情報をアップデートしていきたいですね。

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