コハクオオアリ(Camponotus fedtschenkoi)の飼育方法を解説!【飼育でわかった事実】

私が現在飼育しているコハクオオアリ(またの名をキイロオオアリ)は2019年に「あり巣in undergroundさん」のフォトコンの副賞としていただいた初海外種のアリさんです。
そんなコハクオオアリの飼育も順調に経過し、ある程度安定してきたので私なりの飼育方法を解説させていただきます!

もちろん、私の今現在の飼育方法ですから、「この方法が絶対に正しい」というものではありません。一つの方法として参考にしていただけると幸いです。

コハクオオアリの飼育方法

コハクオオアリは熱帯のアリと思われがちですが、実際には夏暑く、冬寒い気候が特徴の中央アジアに分布するアリです。例えば、アフガニスタンやキルギス、カザフスタンなどです。そのためか、飼育についても日本の在来種とあまり変わらず飼育することができています。

ちなみに、AntMapsによると、西はトルコから東は新疆ウイグル自治区までと分布域が広大です。

私のコハクオオアリの飼育環境

アリ飼育棚
私の家ではヒーターなどの保温器具を使っておらず、室温で管理しています。アリの飼育ケースも上写真のように棚に常設しており、特別な保温ケースなどは使っておりません。

  • 春:室温(20度前後)
  • 夏:室温(エアコンで28度を維持)
  • 秋:室温(20度前後)
  • 冬:室温(15度〜20度)

ちなみに、ヨーロッパのアリ販売ショップの情報を見ると、下記のような管理を推奨しています。

温度 エサ場:18-35°C、 巣:24-28°C
湿度 エサ場:30-50%、 巣:50-70%
冬眠 11月〜3月まで15度以下

つまり、冬は冬眠させて管理することもできるようです。確かに中央アジアの場合、真冬はマイナス10度や20度にもなる極寒な訳ですから、それもそのはずですよね。

コハクオオアリの飼育ケースは「試験管」

コハクオオアリの飼育
飼育ケースに使用しているのは、この試験管ケース。このケースもあり巣in undergroundさんで購入したものです。

コハクオオアリが生息する地域は前述のとおり中央アジアが基本です。その地域の気候がどんなものかと言うと、草原や半砂漠といった乾燥した気候なのです。

ということは、比較的乾燥した状態を好むと思われますが実際はどうなのでしょうか。

コハクオオアリ
実際にコハクオオアリが好んだのは、加湿された試験管の水分から近い場所です。

これは”私の飼育しているコハクオオアリの場合”ですが、女王アリが定着する場所は基本的に試験管の中でも水分がある場所でした。

となると、「コハクオオアリには加湿した試験管があれば良いのかな?」と思われるかもしれません。

しかし、個人的には加湿した試験管以外にも乾燥した試験管を用意した方がいいと思っています。

試験管は加湿と乾燥の2パターンあるといいかも

その理由は、働きアリが幼虫を乾燥した場所に移動させることが多かったためです。

その時、加湿した試験管巣しか用意していないとエサ場に幼虫を移動させることが起きてしまうため、できれば乾燥した部屋も用意してあげるとコハクオオアリたちが部屋を使い分けてくれます。

コハクオオアリの飼育環境
私は今現在、下記の構成で飼育しています。

  • 加湿した(水を入れた)試験管巣:3本
  • 乾燥させた試験管巣:2本
  • 初期に使っていた試験管巣:1本
  • エサ場:1箇所
※初期に使っていた試験管巣とは、上写真手前の白い綿が入っている試験管のことです。

コハクオオアリに与えているエサ

アリに与えるエサは蜜エサや小昆虫が基本です。このコハクオオアリも基本的に変わりません。私が飼育しているコハクオオアリの場合は、下記のメニューを2〜3日に1回の頻度で与えています。

初期コロニーの場合は、エサの好みがハッキリと分かれる場合がありましたが、働きアリの数が10頭を超えてからは上記のエサのローテーションでも何ら問題なく飼育できるようになっています。

コハクオオアリ
また、かき氷シロップのブルーハワイを与えると、腹部が青くなる様子も観察できますよ。

コハクオオアリの飼育開始から現在まで

では、ここからは私のコハクオオアリのコロニーが発展していくまでの様子をご紹介していきます。なんだかんだで結構苦労した種類だったので、今現在はコロニーを崩壊させずに飼育できて一安心といったところです。

コハクオオアリの到着

コハクオオアリ
2019年の12月に我が家にやってきたコハクオオアリ。あり巣さんからの賞品だったのでめちゃくちゃ嬉しかった記憶が。

このときは、女王アリと働きアリ1頭という非常に小さなコロニーで、卵や幼虫も無い状態でした。

産卵を確認


我が家に来てから3ヶ月間は真冬でしたので、進展なく女王アリと働きアリ1匹という状態が続きました。

コハクオオアリの産卵
しかし、3月下旬にとうとう産卵を確認!もともと、働きアリがいるコロニーで新女王では無かったこともあり、産卵を再度開始してくれるかが一番の心配でした。

コハクオオアリの卵
その後も徐々に産卵数が増えていき、ゴールデンウィーク頃には10以上の卵を確認するまでになります。

幼虫が成長をはじめる

幼虫の世話をする女王アリ
5月10日ごろになると、幼虫の姿も確認できるように。女王アリが自ら幼虫の世話をする姿も確認できます。

成長した幼虫
上の写真が5月29日の様子。ぷっくり膨れた幼虫を確認できますね。

繭の出現と、女王アリの異変

繭
6月の第一週には、繭を複数個確認することができました。

が、女王アリの姿がちょっと変なのです。ふらつきながら歩く姿は弱々しく、何かしら異変が起こっているのが容易に想像できる…。

写真をよく見ると、左前脚の色が変色し、動かなくなっている様子。
ここまで順調に来ていたコロニー化でしたが、原因の分からない脚の壊死に暗雲が立ち込める事態に…。

働きアリが羽化

コハクオオアリの働きアリ
しかし、6月14日。ついに我が家に来てから最初の働きアリが誕生します。

女王アリの異変とは裏腹に幼虫たちは順調に成長、働きアリに羽化してくれました!コハクオオアリが家にやってきたのが12月でしたから丸々半年ほどかかったことに。


産卵自体は3月下旬でしたから、産卵から約4ヶ月での働きアリ誕生ってことになりますね。いや〜長かった。


その後も、順調に働きアリが羽化していき、すぐに10を超える働きアリたちが誕生してくれました。よかった!!

女王アリのその後と成長したコロニー

左前脚が動かなくなってしまった女王アリですが、その後は他に異変が起こることはなく、前脚1本の壊死(?)だけで済んでいます。動かなくなったあとも産卵を続け、コロニーも順調に増えていますので、とりあえずのところは一安心ですかね。

コハクオオアリ
1年以上が経過した12月30日現在は、働きアリの数が60頭は超えています。卵も幼虫も全く無い状況からここまで増えてくれたのは本当に良かった…!!

まとめ

コハクオオアリ
まだ、飼育を始めて1年ちょっとですから、まだまだ改善の余地はあると思います。
ですが、冬を越して産卵、羽化、コロニーの拡大、と順序よく飼育が出来ましたので、まずは現時点での飼育方法についてご説明させていただきました!

卵・幼虫の無い最初は結構苦労しましたが、コロニーが成長し安定してきた途端に飼育も非常に楽に感じてくるようになりました。現在のコハクオオアリに対する自分の考えは、「飼育は結構簡単!」「結構増えるのが早い!」ってところです。

最近になり流通量も増え、コハクオオアリ(キイロオオアリ)の飼育者も多くなってきていると思います。これから更に飼育情報が増えていくことと思いますので、「コハクオオアリを飼育したい!」と考えているようでしたら、初めての海外種としてもオススメですよ♪

これからも、自分のコハクオオアリの飼育について考えが変わったり、何か新しい情報が出てくればこの記事に追記、更新、リライトをしていきますね。

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