これまでに沢山の蟻の巣飼育ケースを作ってきましたが、より本物に近い巣を作りたい!という声をいただきましたので作ります!
今回は石膏巣を少しだけ発展させて、より自然のアリの巣に近いレイアウトで作成していきます。過去にご紹介した自作アリ飼育ケースよりも手間のかかる飼育容器になりますが、リアルさを求めるならこのケースがオススメです。では作っていきましょう!
目次
今回作るアリの巣型飼育ケースとは?
アリの巣型の飼育ケースは様々なものがあります。今回作っていくのは、石膏巣をよりリアルな形状にしつつ地上と地中の両方を一つのケースで再現させたものになります。
ですから使うのは水槽!今までは試験管やプラケースなどでしたが、それよりも大きいケースを使っていきます。
通常、アリの飼育ケースは「巣」と「エサ場」が別々に分かれていて、連結させて飼育するタイプのものがほとんどです。ただ、それだとリアル感がどうしても無いんですよね。地中と地上を水槽内に再現することができれば、いかにもリアルなアリの生活を観察することができるようになるはずです。
作成時間は?
では、本格的な巣を作るにはどれくらい時間がかかるのか気になりますよね。
今回のアリの巣の作成時間はトータル3ヶ月!!かかりました。
って言っても、実はサボって放置していた時期があるので、それを除けば2〜3週間くらいで作ることができます!普通の蟻飼育ケースよりも自作に難がありますが、1ヶ月かからないで作れるって考えれば、そこまでハードルは高くありません。
アリの巣を自作しよう!
では、ここからはアリの巣の作成方法を解説していきます。まずは必要な道具や材料をご紹介し、その次に作成方法をご説明していきます。
▼文章は読みたくない!見ながら作りたい!という方のために、6分で作り方が分かる動画を作成しました!
こちらも合わせてご覧くださいね〜!
準備するモノ
材料など
工具、道具
- 使い捨てゴム手袋
- 綿棒
- 爪楊枝
- 彫刻刀
- プラスチックカッター
- やすり
- スプーンなど
アリの巣の作成
それでは早速、アリの巣をつくって行きましょう!
まず、私が用意したのは「水槽」と「流木」「気孔石」です。
実は以前コケリウムを作っていた時期があり、その材料が残っていたので今回の蟻の巣用に使っていきます。水槽は18x16x20サイズで比較的小さなサイズですね。これくらいの方が場所を取らずに作りやすいかと思います。
流木や石は好きなものを用意すればOKですが、あまり大きすぎるものだと、フタが閉まらなくなりますので、程々の大きさのものを用意しておきましょう!
粘土をこねて水槽に貼り付ける
用意した油粘土を好きな形にこねましょう。
油粘土はアリの巣の部屋の型となります。このとき、形をキレイに整えすぎると人工的な部屋の形になってしまうので、今回のように自然な巣のような形状にする場合は、ちょっと雑に部屋を作っていきます。
水槽の前面の下半分に粘土を貼り付けましょう!貼り付けにくいときは水槽を倒してから粘土を貼れば簡単です。
今回は、水槽の下半分は地中、上半分は地上を想定しますので、アリの巣の型は下側だけに貼り付けましょう。
また、部屋と部屋をつなげる通路は、ガラス面には作らず部屋の裏側につけます。こうすることで、完成したアリの巣の見た目を美しく仕上げることができます。
部屋の型取りが完成したら、地表を粘土でつくります。上写真のように、部屋の奥行きよりも長めに地表を型どります。地表は、石膏を流し入れたときの壁(堤防)の役割にもなるため、気持ち強度高めで作っておきましょう。
粘土による型取りが完成したら、予め固形石鹸を水で溶いた石鹸水を刷毛などで粘土の表面に塗ります。これをすることで、固まった石膏から粘土を剥がしやすくすることができるそうです。
水槽に石膏を流し入れる
次に、石膏をつくります。使用する石膏は硬質石膏です。
バケツやタッパーなどに水(石膏に記載の通り)をいれ、石膏をゆっくり入れます。
石膏をそのまま使うと真っ白なので、適宜色をつけます。今回は水性絵の具で着色しました。
水槽に石膏を流します。石膏を入れるときは、水槽を立てかけてから一気に入れてしまいましょう。流し入れたら、水槽を部屋の型が下になるように傾けて固定します。比較的すぐに固まり始めるので、なるべく早く作業するのがポイントですね。
石膏は固まるときに発熱します。そのため、この状態で30分から1時間ほど待ちましょう。手で触って熱くなければ、石膏を取り外しましょう。
水槽から石膏(アリの巣)を取り外す
この作業が非常に大変です。水槽や石膏の種類によってはガチガチに固まってしまい取り出すことができなくなる場合も…。私の水槽もガチガチに固まってしまい、取り出すまでにかなり時間を要しました。
私の場合は、更にお湯などで温めながら少しずつ動かして取り出すことができましたよ。
取り外した状態。粘土が石膏にくっついていますので、これを剥がしていきます。
石膏から粘土を取り、キレイにする
この作業が結構楽しいんですよ〜!粘土を石膏から取り出します。なるべく一気にごっそり取り出せるように丁寧に取り出していきましょう!
石膏から粘土を取り出しました。私が作ったアリの巣は石膏に粘土がこびり付いてしまいキレイに剥がれず…。そういうときは、熱めのお湯とブラシでゴシゴシ洗って粘土を取り除きましょう。
仕上げに、綿棒や爪楊枝でアリの巣の部屋一つひとつをキレイに掃除します。
実はこの作業は結構重要。油粘土を使った場合、油粘土に含まれる鉱物油が石膏の表面に付着することがあり、それを蟻が嫌がるためです。それを防ぐために表面をキレイに仕上げていきます。上の写真くらいキレイになって、粘土のニオイが気にならなくなればOKです!
このあと、石膏が完全に乾燥するまで(1週間くらい)待ちます。
水槽にアリの巣の地中を作る
乾燥したら、石膏のアリの巣を水槽に戻しましょう。
戻すとき、「水槽よりも石膏のほうが大きくて入らない!」という場合は、左右の面をヤスリなどで調整します。あまりヤスリをかけすぎると隙間ができるので、様子を見ながら調整してみてください。
ちなみに、私のアリの巣も水槽に全く入らなくなり数日悪戦苦闘しました…!このときは、全体重をアリの巣に掛けて無理やり奥まで入れることが出来ましたが、結構力がいる作業です。皆さんの場合は、あまり無理をせず側面の厚みを調整しながら水槽に入れてみてくださいね!
水槽にアリの巣を挿入できたら、今度は発泡スチロールで残りの空間を埋めていきます。水槽の空間すべてに石膏を入れると、相当の石膏が必要になるので、軽い発泡スチロールでかさ増しします。
発泡スチロールは、箱でもOKですし、四角いブロック状のものでも大丈夫です。
これを水槽の地中に当たる部分にはめ込みます。
次に、石膏を流し入れます。今回は絵の具の色を間違えてしまい、前回の色との誤差が生じてしまいましたが、できれば同じ色になるように色は調整したほうが見栄えが格段に良くなります!
アリの巣の地上を作る
先ほど入れた石膏表面がある程度固まったら、地上を作っていきましょう。
地上は石膏で段差を作ったり、石を配置したり、自分の好きなレイアウトを作っていきます。余った石膏を使えば、石などを固定するセメント代わりにもなります。
地表の質感や色が気になる場合は、砂や砂利を敷いてみましょう。これだけで雰囲気がだいぶ変わりますね。
あとは、大きめの流木を置いてみたり。ここまで出来ればほぼ完成です!
アリの巣のフタを作る
あとは、アリの巣にフタを作れば完成です。水槽にフタが付属している場合も多いですが、蟻の脱走防止にはならないものがほとんどなので、これも自作していきます。
用意するのは、プラスチックカッターとアクリル板厚み3mm〜、ヤスリです。
イメージとしては、アクリル板を水槽の上に置いてフタをするのですが、そのままだとサイズが大きすぎるので、プラスチックカッターとヤスリを使って大きさを整えていきます。
私の水槽は前面が曲線形状のため、フタも曲線に仕上げます。
アリの巣型飼育ケース完成!
作成期間約3ヶ月(実働2週間)、自然なアリの巣を模したアリの巣飼育ケースが完成しました!!
想像以上にアリの巣っぽくないですか?いままでの石膏巣だと、丸や四角といった人工的なものがほとんどでしたので、こういう不揃いの部屋が連続したアリの巣は新鮮ですね。
これに何を入れるか。今の所、クロヤマアリかアメイロケアリを考えていますが、このアリの巣で飼育するのが楽しみです。
まとめ
今回は本格的でより自然な感じの蟻飼育ケースを作ってみました。まるでアリの巣の断面をそのまま飼育ケースにした様なアリの巣になったんじゃないかな、と思います。
地中の部屋の形状も、地上のレイアウトも、どれも自由に決めることができるので、「完全にオリジナルで自分の思い通りのアリの巣を作りたい!」という方には本当にオススメです。
ただし、いざ作ってみると石膏がはずれなかったり、石膏が入らなくなったり、オリジナルならではの問題点も沢山出てくるはずです。そのため、すべての人にオススメすることは難しいですが、「試行錯誤しながら作るからモノづくりは楽しい!」と思える方には凄く作り応えがあるんじゃないかな、と思います!
ちなみに、私が今回作成した巣にはまだ蟻を引っ越しさせていませんが、この蟻の巣飼育ケースで飼育を開始したら改めてお知らせします!