コハクオオアリと聞くと、「きれいなアリなのかな?」というイメージがありますが、間違いなく美しいアリの一種です。今回はこのコハクオオアリについて簡単に解説していきます!
ちなみに、私の家にやってきたコハクオオアリはなんと、「あり巣 in underground」さんのフォトコンテストの副賞です。2019年11月に実施されていた日本初!?のアリだけのフォトコンテストで、嬉しいことに入賞することができたのです!!そんなご縁から、自身初の海外産アリとしてコハクオオアリが先日やってきましたので、一刻も早くご紹介できれば、という想いで解説させていただきます。
目次
コハクオオアリの名前について
コハクオオアリは中央アジア原産のオオアリの一種です。海外種のため日本には生息しておらず、日本でこのアリを見るにはネットショップ等でコロニーを購入する必要があります。
コハクオオアリという名前は商品名であり、学名は「Camponotus fedtschenkoi」(※1)となります。また、キイロオオアリという別の流通名でも知られている種類ですね!
私が縁あっていただいたCamponotus turkestanus Camponotus fedtschenkoiはコハクオオアリとしていただいたコロニーですので、ここではコハクオオアリの名前でご説明していきます。
コハクオオアリの生息地
日本のアリではないため日本語の情報はほぼありません。ANTMAPSの情報では、カザフスタン、ウズベキスタン、アフガニスタン、新疆ウイグル自治区、トルクメニスタンなどとなっています。これらの地域は、ステップ気候や半砂漠のため日中と夜間の温度差が激しい環境であることは確かです。
また、乾燥地帯であることから、湿潤した環境は好まないことが推測されます。
生息地の気温
中央アジアが中心であり、その気温は夏は暑く冬は非常に寒い気候です。たとえば、コハクオオアリの生息地に重なるカザフスタンのアルマトゥイの平均気温を見てみましょう。
夏(7月下旬ごろ)の平均最高気温 | 30度 |
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夏(7月下旬ごろ)の平均最低気温 | 16度 |
冬(1月ごろ)の平均最高気温 | -2度 |
冬(1月ごろ)の平均最低気温 | -11度 |
このように夏は30度に達する暑さ、冬は日中でも氷点下という環境に生息します。気温だけ見ると北海道の札幌に近く、寒冷地に適応した種類のオオアリだと言えそうです。(※コハクオオアリの生息域はユーラシア大陸に広く、必ずしも上記の気候の場所だけに生息するわけではありません。)
コハクオオアリの大きさ
オオアリはアリの中でも大きな種類です。このコハクオオアリはその中でも中くらいの大きさで、日本のオオアリに例えるならミカドオオアリと同じかやや小さいくらいの印象でです。下記に、ヨーロッパの販売店などに掲載しているサイズを掲載します。
女王アリ | 12mm | 黒褐色の頭部・胸部、黄色の腹部 |
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ワーカー(働きアリ) | 5~12mm | 明るい琥珀色。大きい個体の体色は女王アリに似る |
雄アリ | 8mm | 黒色 |
コハクオオアリの飼育
では、コハクオオアリを飼育する方法を考えてみましょう。すでにヨーロッパではこのコハクオオアリの取扱いが多くあります。ヨーロッパのネットショップの情報をいくつか見ると、大体どこも同じようなことが書かれています。下記に多くのサイトで掲載されている飼育環境の数字を示します。
エサ | 蜜エサ(メープルシロップなど)、小昆虫(ミルワーム、レッドローチなど) |
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温度 | エサ場:18-35°C、巣:24-28°C |
湿度 | エサ場:30-50%、巣:50-70% |
冬眠 | 11月〜3月まで、15度以下。 |
基本的に湿度は高くしないことが重要のようですね。また、冬は寒冷な地域に生息しているため越冬します。ということは、日本に生息するオオアリと大きく変わらないのかもしれません。
現在、私は特に加温せず室温のまま飼育を続けています(2019年12月現在)。この状態ではさすがに動きが鈍くなっていますが、状態が悪化していませんので問題はないと思われます。(もちろん、加温しても問題は無いと思います。)
飼育ケースは?
比較的乾燥した飼育ケースを好みますので、試験管での飼育が適しているでしょう。アクリル巣やプラスチックケースの巣など高湿度になりにくい形状のものもオススメです。逆に高湿度になりやすい石膏巣はあまりおすすめできません。
コハクオオアリを実際に飼育してみた感想を下記記事でまとめました!!
コハクオオアリについて動画でも説明しました!
まとめ
主にユーラシア大陸に生息するコハクオオアリについて簡単にまとめさせていただきました。働きアリの透き通った姿をこの目で見ると、その美しさに心を奪われてしまいますが、実際の姿は女王アリもそれ以上に美しいアリです。海外のアリのため輸入されたものを購入するしか方法はなく、日常的に輸入されている種類でもないため、なかなか手に入れる機会は多くありません。すでにコハクオオアリ(キイロオオアリ)を飼育されている方はどれくらいいるのでしょうね。
私も縁あって飼育させていただいている自身初めての海外種のアリなので、観察を続けて飼育に関するポイントなどもブラッシュアップしていければと思います!