【肉エサ】アリのエサにヒラタコクヌストモドキがすごく良い!【徹底解説】

アリの初期コロニーや小さなアリたちにちょうどいい虫エサはないかな?

そんな方のための虫エサ(肉エサ)があるのです!

それがヒラタコクヌストモドキという小さな虫の幼虫。

今回はアリ飼育のエサ問題を解決する新しい虫エサ「ヒラタコクヌストモドキ」について、詳しく解説していきます!

ヒラタコクヌストモドキって?

アリのエサとして私が使っているヒラタコクヌストモドキですが、そもそも何?って方が多いと思います。

まずは「ヒラタコクヌストモドキとは何か?」というところを解説します。

生態・特徴

ヒラタコクヌストモドキはコウチュウ目ゴミムシダマシ科に属する昆虫です。
爬虫類や鳥類のエサとして販売されているミルワームも同じゴミムシダマシ科の昆虫なので、ミルワームに似た特徴を持っています。


ただし、大きさはミルワームの半分以下で、成虫の体長が3~4mm、幼虫が数ミリ〜約7mm程度と非常に小さな昆虫です。
成虫の体色は茶褐色、幼虫は乳白色〜黄色で、成虫・幼虫ともにミルワームを小型化した形をしています。

食性

主に小麦粉などの穀物の粉をエサとします。故に害虫としての側面が強い昆虫です。
具体的には、食品・製粉工場、飼料工場で発生することが非常に多く、世界的に問題となっている点は理解する必要があります。

ですが、逆を言えば小麦粉があればヒラタコクヌストモドキを飼育することができる、ということです。それ以外に何も用意する必要が無い点はとてもありがたいですね。

コクヌストモドキとの関係

実はヒラタコクヌストモドキには、ミルワームよりもさらに似た昆虫が存在します。それがコクヌストモドキです。

コクヌストモドキはヒラタコクヌストモドキと生態・特徴がほぼ同じですが、アリのエサという視点でみるとヒラタコクヌストモドキに劣ります。

ヒラタコクヌストモドキ コクヌストモドキ
飛翔能力 ない 明るい場所でよく飛ぶ
耐寒性 発育零点は約16℃ 発育零点は18℃前後
食性の幅 穀粒・粉の加害能力がある 穀粒はほぼ加害しない(粉のみ)

このように、ヒラタコクヌストモドキは飛べないですがコクヌストモドキは飛ぶことが可能です。つまり、家庭での飼育時に分散の危険があるため、アリ飼育のために増やすのであれば飛翔能力の無いヒラタコクヌストモドキの方が安全と言えるのです。

ちなみに、ヒラタコクヌストモドキとコクヌストモドキの見分け方は、下記点で区別することができます。

ヒラタコクヌストモドキ コクヌストモドキ
触角 先端にかけて徐々に太くなる 先端3節が球状で太い
複眼の距離 広い(離れる) 狭い

生活サイクル

成虫は300日ほど生存すると言われ、その間にメスは数百の卵を産卵します。
30℃、湿度70%環境下では、卵:4.9日、幼虫:18日、蛹6.1日を経て成虫になると言われています。

また、小麦粉の種類によっても生育期間は変わるようで、コクヌストモドキでの実験では、

  • 全粒粉小麦飼育での幼虫期間:30日
  • 精白小麦粉飼育での幼虫期間:88日

という違いがあることが報告されています。

ヒラタコクヌストモドキはアリのエサになる!

ヒラタコクヌストモドキがどんな虫なのかが分かったところで、ここからはアリのエサとしてのヒラタコクヌストモドキを掘り下げて行きましょう!

アリにエサとして与える方法

ではまず、アリに与える方法を見てみましょう。

アリに与えるのは、ヒラタコクヌストモドキの幼虫・蛹です。成虫は基本的にエサにはならないのでご注意くださいね♪


与え方は、幼虫や蛹をそのまま、またはピンセットなどを使い弱らせてから与えるだけです。ミルワームの場合はカットして与えることが多いと思いますが、ヒラタコクヌストモドキの幼虫は小さいうえにミルワームより柔らかいためそのままでも問題なくアリが食べてくれます。

アリが食べた後ってゴミは出る?

「ヒラタコクヌストモドキを与えた後、食べかすとしてゴミになりますか?」、という点ですが、結論から言うと食べかすは結構出ます。

ミルワームより柔らかいとは言え、外皮部分は食べ残しとしてゴミ捨て場に捨てられます。また、働きアリが幼虫の体液を吸っただけの場合もヒラタコクヌストモドキの幼虫の形はそのままに干からびた状態で食べかすゴミとなります。

とは言え、一部がゴミとして捨てられてても食べてくれなかった訳ではなく、ちゃんとエサとして食べられる部分は消費されてますので、安心してくださいね!

どんなアリに向いている?

では、ヒラタコクヌストモドキの幼虫はどんなアリに向いているのでしょうか。
私個人的な考えは下記のアリたちです。

小型のアリ(小型ハリアリ含む)
ヒメアリ類、コツノアリをはじめとする超小型種には非常に相性の良い虫エサです。超小型種に与える虫エサは、そのまま与えられる昆虫があまり多くありません。シロアリやショウジョウバエ(コバエ)くらいでしょうか。ですが、これら虫エサも飼育や管理(確保)がやや難しいですよね。ヒラタコクヌストモドキの幼虫なら簡単にストックできる上、そのまま与えることができる貴重な肉エサとなります。
もちろん、キイロシリアゲアリなどの小型種やテラニシハリアリなどの小型ハリアリにも相性抜群です。

 

初期コロニー全般
初期コロニーであれば、大型アリでも非常に使い勝手が良いエサとなります。大きな肉餌を与えても食べないことが頻繁に起こる初期コロニーですが、ヒラタコクヌストモドキの幼虫は多くのアリたちが好んで食べてくれました。(※あんつべ自宅環境調べ)

 

狩りをする種類の新女王アリ
我が家ではツヤクシケアリ、マニカ・ルビダの飼育にヒラタコクヌストモドキを活用しました。これらのアリは女王アリ単独でも幼虫の世話のために自ら食料探しをします。そういった習性を持つアリとの相性も非常に良かったです。

 

クロナガアリにも
種が主食のクロナガアリですが、自然下ではダンゴムシなどを巣に運ぶ様子を観察することができますよね。実際、虫エサは大好物のようで我が家のクロナガアリにはこのヒラタコクヌストモドキを与えています。

我が家では主に上記アリたちの虫エサとして活用しています。
特に初期のコロニーには使いやすいエサだと思うので、「蜜エサだけでなく生きた昆虫のエサも与えてみたい・・」と思われている方にとっては非常に良い選択肢だと思います。

逆に、大型種(クロオオアリなど)や大規模コロニーなどには向かない可能性があります。というのも、1匹あたりのエサとしての量が少なすぎるためです。
大量のエサを必要とするアリ(コロニー)には、既存の虫エサ(ミルワームやデュビアなど)を与えたほうが効率が良いでしょう♪

ヒラタコクヌストモドキの飼育・繁殖方法

では、ここからはヒラタコクヌストモドキの飼育方法を解説していきます。
方法、と言ってますがやり方は極めてシンプルです。

用意するもの

  • タッパー(大きめ)
  • 小麦粉(あれば全粒粉)
  • 茶こし(100円ショップのもので十分)
  • スプーン
  • ピンセット

環境

1年中、繁殖させるには室温を20℃以上にして管理します。湿度高めのほうが生育が良いですが、ダニが発生する可能性があるため湿度60%以下にして管理したほうが良いでしょう。

セッティング


タッパーに小麦粉を入れます。小麦粉の深さは1cm〜人差し指の第一関節くらいまでが良いです。多く入れすぎると、内部が蒸れてダニの原因となります。
また、空気穴はあっても無くても大丈夫です。

ヒラタコクヌストモドキを投入すれば簡単に増えていきます。

幼虫の取り出し方

アリのエサとなる幼虫を取り出すには、一工夫が必要です。
小麦粉の中から幼虫を1匹ずつ取り出すのは至難の業なので、ここで茶こしを使います。

  1. スプーンでタッパー内の小麦粉を1杯すくう
  2. 茶こしで小麦粉を振り落とす
  3. 茶こしに溜まった幼虫をピンセットで取り出す

これで簡単に幼虫を分離することができます。
ヒラタコクヌストモドキ飼育には茶こしが必須だと思うので、飼育する際にはぜひ茶こしも用意してくださいね♪

ヒラタコクヌストモドキ飼育の注意点

ヒラタコクヌストモドキの飼育は以上の説明からして非常に簡単です。
ですが、注意すべき点もいくつか存在します。

他の害虫を呼び寄せる
床材として使う小麦粉はヒラタコクヌストモドキに限らずいろいろな虫のエサとなります。例えば、ダニやシバンムシ類、ホソヒラタムシ類、コクヌストモドキなどです。タッパーの蓋の締りが悪かったり、上述のとおり湿度が高かったりすると様々な害虫の住処となってしまいます。十分注意しましょう。

 

成虫がキノンを発生させる
ゴミムシダマシ科の成虫は防御物質としてキノンを体外に分泌することがあります。キノン類はほ乳類に対しても毒性を持つ物質ですが、床材(小麦粉)のタンパク質と速やかに反応し、毒性がほぼ無くなると言われています。
成虫を蟻に与えることは無いため基本的に蟻の餌として問題にはならないと思われますが、成虫がキノンを分泌する習性を持つことは知っておくべきでしょう。ちなみに、ミルワームもキノンを発生させます。

実際に蟻に与えた見た様子は動画撮影しています!

ヒラタコクヌストモドキの入手方法

さて、ここまでヒラタコクヌストモドキについてざっくりと解説していきましたが、「蟻のエサに結構良さそうかも!」と思われた方も多いのではないでしょうか。

しかし、実は現時点でヒラタコクヌストモドキを簡単に購入する場所はありません・・・。
というのも、アリのエサとしてヒラタコクヌストモドキを導入したのは私が初めて、という理由が非常に大きいです。

そこで、現時点でヒラタコクヌストモドキを入手する方法をいくつかご紹介します!

あんつべ本人のヤフオク!出品から

1つ目は、そのまんまですが、私から入手する方法です!

我が家では個人的な蟻飼育用にヒラタコクヌストモドキを繁殖させています。個人用なのですが、ちょっとだけ余ってしまうこともしばしばあるんですよね・・・。

販売用に繁殖させているわけでは無いので量は全然出せませんが、折角なので余った分だけヤフオク!でお分けしようと考えています。

他のツールでお分けする方法も考えたのですが、個人情報等含め安全にお取引ができるのはヤフオク!だけですので、まずはヤフオク!で少しだけ出していく予定です。

あんつべ公式のヤフオク!はこちら

気になった方は、ぜひ私のTwitterをしてヒラタコクヌストモドキの販売情報をチェックしてみてくださいね♪

ミルワームなどを購入したときに混入していないか毎回確認

そしてもう一つの方法が、混入していないか確認する方法です。

実は私自身、買ったミルワームの中にヒラタコクヌストモドキが混ざっていたことがありました。むしろ、そのときのヒラタコクヌストモドキが我が家のヒラタコクヌストモドキなのですが、まれに混入していることがあるので、宝探し感覚で探してみるのも有りですよ!

まとめ

今回は、ヒラタコクヌストモドキの幼虫を蟻飼育のエサに活用する方法をご紹介させていただきました!

まだ、蟻のエサとして全く認知されていない昆虫ですが、私が十数種類の蟻飼育に使ってみた経験から、ヒラタコクヌストモドキの幼虫は「エサとしてかなり使える!」と断言できます。

まだまだ、流通すらされておらず、認知度もゼロですが、この記事をきっかけにヒラタコクヌストモドキの幼虫をアリのエサとして使ってみてはいかがでしょうか。かなりオススメですので、機会があればぜひ使ってみてくださいね!
 
  
【参考文献】
衛生害虫と衣食住の害虫(全国農村教育協会):p67,p276,p277
実験動物用飼料におけるコクヌストモドキとヒラタコクヌストモドキの発育:https://www.jstage.jst.go.jp/article/urbanpest/8/2/8_57/_pdf
コクヌストモドキTribolium castaneum HERBSTとヒラタコクヌストモドキTriboliumcontusum DUVALの低温抵抗性:https://www.maff.go.jp/pps/j/guidance/r_bulletin/pdf/rb007-002.pdf
コクヌストモドキ,Tribolium Castaneum Herbstのキノン類分泌とそれが他の昆虫に及ぼす毒性
国際衛生株式会社技術資料:https://www.kokusaieisei.jp/insect-book/pdf/confused-flour-beetle.pdf

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