アリの中でも小さいサイズの蟻は目を凝らして見ても、どれも似たような姿や形をしてますよね。でも、実は小さいアリでも多くの種類が存在します。日本だけでもアリは300種類近くいるため、普段あなたが見ているアリは実は色々な種類を同じアリと認識していたかもしれません。
この記事では、日本に一般的に生息する小さなアリの種類や特徴などをご紹介します。
目次
そもそも、日本で1番小さいアリは何mmくらい?
小さなアリと言っても、生き物の中でアリはかなり小さな部類の昆虫ですよね。何となく数ミリくらいかな?という印象の方が多いのではないでしょうか。では日本で1番小さな最小のアリの一種であるヒメコツノアリの大きさはどれ位なのかと言うと、働きアリの体長がなんと1ミリにも満たない大きさです。
ここまで小さいと普段の生活で気づくレベルの大きさではありませんよね。
ただ、ヒメコツノアリは主に沖縄に生息し、日常的に見られる種類ではありませんから一般的なアリとは言えません。また、都市部にもヒメコツノアリの仲間「コツノアリ」も生息していますが、こちらも普段の生活で気づくアリではありません。
また、他にも「ヒメセダカウロコアリ」や「ムカシアリ属のアリ」などが体長1mm前後で最小級のアリです。これらも普段の生活で見られるほどポピュラーな種類ではありません。
ですから皆さんが普段見ているアリの中で小さいアリはもう少し大きい、1mm~2.5mmくらいのサイズとなります。
日本の代表的な小型アリ
ということで、アリに興味の無い方でも普段見る機会の多い小さなアリをご紹介します!はっきり言ってしまうと、1mmから2.5mmくらいのアリはかなり多くの種類がいます。ですから、アリに詳しくない方が普段見かけやすいものに絞って見ていきましょう!
1mmから2ミリ未満のアリ
ヒメアリ
一昔前は住宅地にも多くいた赤茶色の小さなアリです。生息域は西日本が中心ですが東北南部まで生息しています。
頭部と胸部が赤く、腹部が黒っぽい色をしています。体長は1.5mm前後と非常に小さいアリです。
枯れ枝などに営巣するため、樹木や植栽のある場所に生息します。住宅のお庭でもヒメアリが巣とできる枯れ枝などがあれば普通生息していますが、都市部など植栽やお庭のない住宅地が増えたことでヒメアリを見かける機会もやや減っている印象です。
稀に住宅にも侵入することがあり、エサのある場所まで行列をなしていて見つかることがありますが、その体の小ささと木材と同化する色から発見が遅れがちです。
特に人間に対して悪さをするアリではありませんが、室内で問題となる場合は駆除の対象となります。
サクラアリ
私たちの生活で最も身近にいる小型のアリの一種でしょう。しかし全身が褐色で石や土と同化しやすく、さらに1mmほどの小ささから気づかれることの少ないアリでもあります。
比較的乾燥した地面に多く生息するため、花壇や公園の植栽などの周辺を注意深く観察するとサクラアリを見ることができます。
ヒメアリと同じく家屋で見られることもあり、屋内に定着している場合は駆除の対象となります。ただし無害です。
アワテコヌカアリ
頭部が褐色で腹部が薄い黄色をした体長1.5mmほどのアリです。
外来種ですが、南西諸島では古くから見つかっている種類です。近年は本州など本土でも見つかっています。普段の生活で見かけることは今のところ多くはないですが、家屋に侵入する害虫として世界的に有名なため注意が必要です。
2ミリほどのアリ
アメイロアリ
林内でよく見られる2〜2.5mmほどの小型のアリです。飴色の体色が特徴的ですが、頭部と腹部は黒色が目立ちます。市街地よりも草地や森林が多い場所で見られます。サクラアリに似ますが、こちらはより湿り気のある場所を好むようです。
普段の生活で見る機会は多くありませんが、まれに家屋内で見つかることがあります。害はありません。
イエヒメアリ
ヒメアリに似る外来種のアリです。和名のイエは家のことで文字通り建物に定着します。
ヒメアリが1.5mmほどなのに対しイエヒメアリは2mmから2.5mmとやや大きく、
また、ヒメアリが赤褐色と黒色のはっきりとした2色性を示すのに対しイエヒメアリは色がはっきりと分かれません。
小型のアリの中では最も人の生活に影響します。家に定着した場合駆除が難しいとされており、専門的な駆除を要する場合があります。
ルリアリ
黒くて金属の光沢のように艶のあるアリです。体長2mmほどと小さいですが、黒いため目につきやすいでしょう。
こちらも主に西日本に多いアリで、東日本でも関東以南に生息します。
乾燥にも強く、家の敷地から室内に侵入することもあります。一般的には、室内でルリアリの存在に気づくことが多いです。
自然下では、枯れ枝や朽木に営巣する様子が見られます。
2.5mmほどのアリ
トビイロシワアリ
2.5mmほどの黒色のアリ。庭や公園など、地面を歩く小さなアリの代表です。トビイロシワアリは日本全国に生息するため国内で最もポピュラーな種類でもあります。
家の中で見ることはほとんどないため、屋外で見る機会が多いでしょう。
アミメアリ
こちらも2.5mmほどの大きさです。
他のアリに比べ腹部が丸く、簡単に見分けがつきます。腹部は黒褐色、その他は赤褐色の2色に体色が分かれます。
巣を移動させるアリで、行列をなして移動する姿を地表や樹木などで頻繁に見ることができます。私たちの暮らしでもよく見かけることができ、たまに巣の移動時に誤って人家に入り込むことも。しかし全く害のないアリです。
ハリブトシリアゲアリ
樹木のある場所でよく見かけるアリです。シリアゲアリの名前は、威嚇するときに腹部を上げる行動をすることからも分かります。
腹部は先端が鋭く尖っており、小さな針を持ちます。しかし人間には小さすぎるため基本的に無害です。立木の洞内や枯れ木などに営巣します。
キイロシリアゲアリ
黄色くて美しいアリです。先ほどのハリブトシリアゲアリと形が似ていますが、色が違うのと巣の場所が異なります。キイロシリアゲアリは土の中に巣を作るため、基本的に地面で見られます。
色が薄いため気づかれにくいですが、どこでも見られます。
オオズアリ属
人の生活圏では、オオズアリやインドオオズアリなどが見られます。この種類は兵隊アリの階級が存在し、巣の中に体の小さい働きアリと体の大きい兵隊アリが混じります。
市街地では関東以南、特に西日本で見られるアリです。
近年、関東でもオオズアリなどの家屋侵入被害が増えており、害虫として扱われる場合もあるようです。
(アズマオオズアリは東日本にも広く生息しますが、主に林内などで見られます。)
ムネボソアリ
枯れた枝や竹などに営巣する小型のアリ。植栽のある場所では普通に見られます。地面ではなく植物の上を歩いている姿をよく見ることができます。ムネボソアリは普段の生活で問題となるアリではありません。
まとめ
ここでご紹介したアリは小さな種類の中のほんの一部です。実際にはもっとたくさんのアリが日本にいます。ですが、普段の生活に絞って考えれば上記の10種類程度のアリがほとんどでしょう。
ここで紹介したアリは人に害を加えるものではありません。ですから普段の生活で小さなアリにお困りの場合も、出来る限り駆除はせずにそっとしておくべきでしょう。
とはいえ家の中に住み着かれて生活に支障がある場合は、適宜駆除をする必要もあるはずです。2mm未満のアリは本当に小さいので発見するのに苦労しますが、小さなアリでも市販の駆除剤で対処できる場合もあります。
詳しくはこちらでご紹介しておりますので、合わせてご覧ください!
▼上でご紹介したトビイロシワアリの引越し動画はこちら!