キイロシリアゲアリとダニ

新女王アリを採集して飼育を始めてみたけど、「卵を産んでくれない!」「卵や幼虫が成長しない!」という状況に悩んでいませんか?

そんな時はいろいろな原因があるかもしれません。一向に成長しないコロニーに焦りを感じるかもしれませんが、一旦どのような原因があるのか、一緒に考えてみましょう。

女王アリが産卵するまでの期間

まず、女王アリが結婚飛行をしてから巣に閉じこもりどれくらいで産卵を始めるかをご存知ですか?例えば6月を中心に結婚飛行をするクロヤマアリだと、早いと飛行後(採集後)翌日には産卵を始めます。とても早いですよね。
クロヤマアリ以外の種類でも翌日から1週間くらいで産卵を始めるものが多いです。
ただ、秋頃に結婚飛行をするアリの場合、飛行後そのまま越冬するため翌春から産卵を始めます。この点は要注意ですね。

産卵したけど、成長しない

最近、当サイトに「産卵するけど成長しません」「女王が卵を食べているかもしれません」というお問い合わせをよくいただきます。
この場合、産卵はしているのは確認できていますからその後に何か原因があるかもしれません。

ダニが付着

私の中で最も可能性が高いのではないかと感じているのがダニです。
ダニはアリを飼育していればほぼ必ず巣内に発生するため、問題にならない場合が多いのですが、初期巣ではダニが問題になることがあります。

ダニが卵を食べているかも

働きアリのいない初期巣では、ダニが増殖すると女王アリが産んだ卵がすぐに無くなってしまう現象が起きることがあります。観察した事はありませんが、おそらくダニが卵を食べていると思われます。
※追記:実際にダニが卵に群がっている様子を観察することができました。これにより、ダニが直接的な原因の可能性が高くなりました。

ダニがいるかチェックせよ!

産卵しては卵がなくなるのを繰り返している場合はダニが原因の可能性がありますので確認してみましょう。ダニはケースの隙間や角、女王アリの体、エサの周辺、に多くみられます。

ダニ

蓋とケースの隙間にいるダニ

よーく確認すると、肉眼でもギリギリ見ることができますが、マクロレンズや虫眼鏡、ルーペなどがあると確認しやすいです。

もしダニが大発生していたら

観察したらダニがたくさんいた!という場合は、ケースを洗浄するか、ケースを新しくしましょう。

ケースを洗浄する場合

  1. まず、女王アリを空の適当なケースに仮置きします。(脱走されないように注意!)
  2.  ※この時、エサを一緒に入れておきましょう。女王アリがお腹を空かせていたらエサを食べてくれるかもしれません。
  3. 古いケースをお湯などでよく洗い流します。蓋やチューブは洗剤などでよく洗いましょう。
  4. 石膏ケースの場合は、石膏部分の汚れもブラシやティッシュなどでしっかり落とします。
    (石膏は洗剤などが付着しないようにしてくださいね!)
  5. 乾いたらケースをしっかり確認しましょう。ダニが付着していないことが確認できたら女王アリをケースに戻します。
  6. 女王アリにダニが付着している場合は、先端を細長くしたティッシュに水を湿らせ、付着したダニをサッと弾くと取れることがあります。
  洗浄したケースには女王アリ以外戻さないでください。ゴミや土、エサなどにもダニが付着している可能性が高いためです。また、残念ですが産卵済みの卵も戻さないほうがいいでしょう。
卵とダニ

仮置ケースには卵の周りにダニやダニの卵が付着していた。

ケースを新しくする場合

先ほどのケースを洗浄する工程以外は全く同じです。女王アリを適当なケースに仮置きし、新しいケースに女王アリだけ入れればOKです。

ダニを増やさないために心がけること

ダニが増える要因として大きいのは、ダニのエサとなるものが豊富にある状態が続いているからです。
例えば、女王アリに与えるエサを数日放置していたり、エサが石膏に付いてしまったりすると、ダニが増え始めます。
ダニはプラケースの蓋の隙間も通過できるほど小さな生き物ですから、物理的に遮断することはできません。常にケースを清潔に保つことが大切です。

ダニが心配な場合は、エサを与えないという選択も

ほとんどの新女王アリは、自然環境では最初の働きアリが生まれるまでエサを口にしません。
ですから、女王アリを採集してから働きアリが生まれるまでエサを与えない、という選択をするのも一つの手です。
もちろん、エサを与るメリットもありますが、衛生的に心配なら試してみる価値はあるでしょう。

カビなど菌の蔓延

ダニ以外にも、カビなどが発生して卵が変色したり液状になったりする場合もあります。

液状化した卵
この場合の対処方法は上記のダニと同じですが、ケースの再利用はせず新しいものに住み替えさせるのが適当です。入れ替えの時も、女王アリのみを新しいケースに入れ、卵やゴミ、土などは新しいケースに入れない様に注意します。

飼育環境が合っていない

次に考えられるのが、飼育環境です。
具体的には、

  • 頻繁に振動が伝わる場所に置いている
  • 直射日光が当たる場所に置いている
  • 巣が広すぎる
  • 寒い
  • 林床性の種類に樹上性向けのケースを使っている
  • 樹上性の種類に林床性向けのケースを使っている

です。

振動や日光は遮断する

アリは屋外では直射日光の当たる地面などで行動しますが、巣は土の中や木の中にあるため暗く静かな環境です。飼育ケースの場所が窓際にあったり、振動が伝わりやすい場所にあるなら、移動するだけで状況が改善するかもしれません。

狭い空間を好む初期巣

結婚飛行後に巣を作る女王アリたちは、みな小さな空間を作り子育てをします。女王アリの体長より少し大きいくらいのサイズ感です。
飼育ケースが大きすぎて女王アリが落ち着いていない様子なら、試験管巣など小さな飼育ケースで始めるといいでしょう。

寒いと産卵しない

冬など寒い時期なら産卵しなくても問題ありません。冬は冬眠の季節ですから、暖かくなる季節になるまで待ちましょう!

林床性の種類に樹上性向けのケースを使っている

土壌中や切株、朽木内など地面に巣がある種類の場合、基本的に多湿な環境を好みます。
このグループは、石膏巣や平型石膏ケースなど加湿できるアリ用飼育ケースが適していますが、アクリル巣や木製巣など乾燥状態となる巣は適していません。
クロオオアリやクロヤマアリ、キイロシリアゲアリなどがこのグループに当てはまりますので、もしも間違ったケースを使用している場合は変えるべきでしょう。

樹上性の種類に林床性向けのケースを使っている

逆に樹上性で幹の隙間や樹皮下、枯れ枝、葉っぱなどに巣を作る種類の場合、乾燥状態を好みます。そのため蟻飼育で一般的な石膏系との相性は良くありません。
これらの種類には、木製巣(丸太巣)やプラスチックの巣が最適です。ミカドオオアリやウメマツオオアリなどがこのグループに該当します。

産卵すらしない

これはひょっとするとその女王アリ自体に何か問題があるかもしれません。
原因はわかりませんが、数ヶ月産卵しない場合は今後も産卵を行わない個体である可能性が高いでしょう。また、未交尾の個体の場合もこれに当てはまります。

突然産卵を始めることも稀にありますが、結局女王アリが食卵してしまったりと立ち直る可能性は低いと思われます。

まとめ

頑張って採集した女王アリの飼育が上手くいかないと、焦ってしまったり自分を責めてしまったりするかもしれません。
しかし今回ご説明した様な現象により、全ての女王アリが100%上手くいくものではない事がお分かりいただけたと思います。

ただ、「産卵するけど卵が成長しない…」という場合は今回ご説明した対処方法により、もしかすると改善されるかもしれません。
初期巣の立ち上げがうまくいっていない時は、一度試してみてください。

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