黒いアリってどんな蟻?駆除するべき?特徴や種類を解説

黒い色のアリ「黒アリ」は日本にたくさんいます。そして多くの種類が存在します。

お庭や家の中で大量の黒いアリを見たらゾッとするかもしれませんが、私たちの生活にどんな影響があるか、皆さんはご存知でしょうか?ここでは、黒いアリの種類や人や建物への影響、その対処法、駆除について網羅的に解説していきます。

結論:黒アリはほとんどの場合「無害」

黒い色のアリは日本に数百種類存在します。その中でも人や建物など生活に影響を与える種類はほとんどいない、基本的に無害な昆虫です。

「黒いアリは駆除しないと!」、という刷り込みからスプレーや粉剤などの市販駆除剤が売られていますが、その必要はほとんどの場合ないのです。

では、日本の黒いアリで注意すべきアリはどんなアリなのでしょう?

そもそも、黒いアリは居ても「黒アリ」という種類は存在しない

よく、ネットの情報を見ていると、黒アリという言葉を目にします。

しかし、実は黒アリという種類のアリは存在せず、あくまで通称として使われます。

どういう時に使われるかと言うと、シロアリに対して黒アリが使われます。どちらもアリと言う名前が付いているので、混同しないように白黒色で分けているのですね。

ちなみに、「シロアリ」は正しい名称なので、シロアリに関連する視点で見た時に区別してもらうためにアリの事を「黒アリ」と呼んでいるのです。種類として存在しない「黒アリ」と言う単語を嫌う場合もあるようですが、単純に単語として分かり易く、ぱっと見て理解できる言葉としては悪くない言葉なのかな、と思います。

ただしこのブログや記事では黒アリと言う単語は使っておらず、単純に「アリ」と表現しております。

黒いアリ?他の色のアリとは違うの?

アリの種類
今回は色の黒いアリのお話ですが、アリはすべての種類が黒いわけじゃありません。

最近話題のヒアリも黒くないですし、日本にも黄色やオレンジ、赤や茶色といった色々なアリが生息しています。色が違っていても、同じアリ科の昆虫です。

黒くても、赤くても、黄色くても、アリはアリで同じなのです。アゲハチョウが種類によって色が異なるのと同じように、アリも種類によって黒かったり茶色かったり赤かったりするのです。

では、そのアリの中で”黒いアリ”ってどんな種類がいるのでしょうか?

日本の黒い色のアリ

日本には300種ほどのアリがいます。その中でも色の黒いアリは大多数を占めます。

そのため、黒いアリと言えば〇〇アリ、という簡単な区別は出来ないのです。

そのすべてをご紹介することはできませんが、比較的見かけることの多いアリの中で色の黒いアリを8種類ご紹介します。

クロヤマアリ

日本で1番見られるアリの代表がこのクロヤマアリです。

特に道端や公園などで見ることができます。4〜6mmの大きさで、肉眼でも確認し易く、とにかくたくさん生息しています。動きが早く、単独で行動する黒い中型のアリはほぼクロヤマアリでしょう。ちなみに、色は全体が黒ですが、腹部(膨らんだところ)が灰色に見えることがあります。また、クロヤマアリは形状で区別のつかない隠蔽種が存在すると言われています。
クロヤマアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 クロヤマアリは駆除する必要はありません。毒針を持っていないため、人に対しての害はなく、建物への害も全くありません。「ちょっと気持ち悪い…」という場合を除いては、特に対処する必要はありませんので安心してくださいね♪

クロヤマアリの詳細記事はこちら

クロオオアリ

クロヤマアリに似た形をした黒く大きなアリがクロオオアリです。日本最大種。

働きアリの大きさは7〜12mm程度でクロヤマアリより一回り大きいです。クロヤマアリより体のラインが弧を描くようにシンプルで美しい形状をしています。クロヤマアリ同様、公園や道端など明るい場所に巣があります。多くの場所でクロヤマアリより数は劣る印象ですが、比較的どこでも生息しています。
クロオオアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 クロオオアリも駆除する必要はありません。こちらも毒針を持っていないため、人に対しての害はなく、建物への害も全くありません。ですから、「気持ち悪いんです…」という場合を除いては、特に対処する必要はありませんので安心してください♪
クロオオアリの詳細記事はこちら

トビイロシワアリ

都会の地面で非常によく見かける黒いアリ。その中でも一際小さく、黒光りしたアリならこのトビイロシワアリの可能性が高いです。

体長は2.5mmほどで、他のアリよりも頭部の割合が大きくパッと見分けることができます。地域やコロニーにより黒色が強いもの、茶色が強いものの差があります。東京では黒い個体をよく見かけます。道に落ちている人間が落とした食べ物に群がるアリとしても有名ですね。
トビイロシワアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 トビイロシワアリも基本的に駆除する必要はありません。人に対しての害はなく、建物への害もありません。ただし、農作物を食い荒らされる被害が報告されています。家庭菜園や農業をされている場合で、黒アリによる被害を受けているときは駆除の対象となります。

トビイロシワアリと農作物の被害について記事を書きました

ケアリ属

一般的にトビイロケアリが有名なケアリ属ですが、ヒメトビイロケアリやハヤシケアリなど同定の難易度が高い種類が存在するため、ここではケアリ属とします。

体長は種により若干異なりますが、3mm前後の場合が多いです。
種類により色の濃さの違いはありますが、最もよく見かけるトビイロケアリは黒く、一つの巣(コロニー)の働きアリの数も多いため目立ちます。

特に樹木の根っこ付近に巣が多く、幹を行列をなして登り下りするケアリが頻繁に見られます。
また、通り道をおが屑などで覆いトンネルを作る習性があり、このような構造物が見られる場合はケアリ属で間違いないでしょう。

また、雨漏りで湿潤した壁内に巣を作ることが多く、駆除の対象となることがあります。
ケアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
建物に巣を作ることがある
 トビイロケアリは駆除の対象となる場合があります。人に対しての害はないため、その点は安心です。ただし、建物への営巣被害が報告されています。壁の中などに雨漏れが発生していると、トビイロケアリなどのケアリ類が巣を作ってしまう可能性があります。もしも、ケアリが家の中に出てきているのなら、ケアリの駆除と雨漏れなどの修繕が必要です。

オオハリアリ

体長4〜4.5mmほどのハリアリの一種です。

日本では最も一般的なハリアリで、都会でも見ることができます。庭や公園、林縁などに多く、単独行動をして獲物を探します。他のアリに比べて細長く、比較的簡単に区別できます。

このアリは毒針を腹部先端に持っているため、素手で触ると刺される危険性があります。刺されるとチクッとした痛みが残ります。また、シロアリの捕食者として有名です。
近年は海外への定着が報告され、現地では侵略的外来種として問題になっています。
オオハリアリ

人に害がある?
刺される可能性あり
建物に害はある?
害はない
 オオハリアリは建物内では駆除の対象となります。今回ご紹介する黒アリの中で唯一、人を刺す害虫です。おしりに毒針を持ち、誤って素手で触ると刺される危険性があります。ただし、自然界では重要な昆虫ですから、お庭などに生息している程度なら駆除は避けたほうが賢明です。
家屋内でオオハリアリが発生している場合、同時にシロアリ被害が発生している可能性があるため、専門業者に診てもらった方が良いでしょう。

クロナガアリ

日本で唯一、植物の種子だけを食糧にして生活するアリです。クロナガアリの体色は黒一色で黒いアリの代表とも言えそうです。

体長は5mmほどで、開けた土地、例えば畑や原っぱ、公園に多く見られます。
スローモーションのような動きでおっとりしており、単独で行動するため他種と見分けがつきやすいです。基本的に夏に地上で行動することはなく、10月から4月ごろの涼しい季節に地上で見る機会の多いアリです。
クロナガアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 クロナガアリは駆除する必要はありません。人に対しての害はなく、建物への害も全くありません。「ちょっと気持ち悪い…」という場合を除いては、特に対処する必要はありませんので安心してくださいね♪

ムネボソアリ属

頻繁に見かけるアリではないですが、どこにでも普通に生息する小さな黒いアリです。

立木の枯れ枝内に営巣するため、木本や篠竹のある土地に見られます。
先述したトビイロシワアリと大きさが似ますが、ムネボソアリの方が全体的に細身です。
ムネボソアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 ムネボソアリも駆除する必要はありません。人に対しての害はなく、建物への害もほとんどありません。「ちょっと気持ち悪い…」という場合を除いては、特に対処する必要はありませんので安心してください♪

アシナガアリ属

必ずしも真っ黒のアリではないですが、特にアシナガアリは屋外で真っ黒く見えます。

森林性で湿った場所に多いため、普段の生活で見かけることは少ないでしょう。ただ、ハイキングやトレッキングなどで森を散策していると普通に見かける種類のアリです。3〜5mmほどの大きさで、名前の通り普通のアリより脚が長く外見で違いがわかります。
アシナガアリ

人に害がある?
害はない
建物に害はある?
害はない
 アシナガアリも駆除する必要はありません。人に対しての害はなく、建物への害も全くありません。「ちょっと気持ち悪い…」という場合を除いては、特に対処する必要はありませんので安心してくださいね♪

黒いアリの対処法は?

ここまでご説明した通り、黒いアリは基本的に対処するほど危険な生き物ではありません。

ですから屋外で見ただけ、一匹だけ見た、などの場合は何もせずそっとしておきましょう。

ただし、対処した方がいい場合もあります。例えば家の中で大発生している場合です。これはほぼ確実に家の中に巣を作られていますので、衛生面等を考えると駆除することが推奨されます。
駆除方法については、こちらの記事に詳しく掲載しております。

まとめ

まず、黒アリという種類のアリは存在しません。ただし黒い色のアリは日本に数百種類存在します。その中でも人や建物など生活に影響を与える種類はほとんどいない、基本的に無害な昆虫と言えるでしょう。

黒いアリは駆除しないと、という刷り込みから市販駆除剤などが売られていますが、その必要はほとんどの場合ありません。

もちろん、生理的に気持ち悪いから、という事もあるかもしれませんが、本質的には害虫ではない、という理解が広がっていく事も大切かもしれませんね。
 

ただし、オオハリアリやトビイロケアリが室内に発生している場合は話は別です。

オオハリアリは人を刺す種類のアリで、家の中に発生しているときはシロアリ被害が併発している可能性が高いです。
また、トビイロケアリが発生しているときは、雨漏れなど建物の不具合が起きている可能性があります。

こういった場合は、ご自身で対処する前に専門業者さんに一度診てもらうことをオススメします。

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