クロオオアリの結婚飛行シーズンは5月が最盛期ですよね。
まさに最盛期の5月のある日。
私の家のベランダでブーンと虫の飛ぶ音が
かれこれ1時間ほど鳴っては止んで
鳴っては止んでを繰り返しておりました…。
うるさいのでベランダの様子をみると、
そこにはクロオオアリの大きな有翅女王アリの姿が。
時間は夜の8時過ぎ。
もう結婚飛行も終わるであろう時間に、
我が家の灯りにつられてやって来てしまったのでしょうか。
様子から、ベランダに迷い込んで出られなくなってしまった様子。
有翅ですからまだ未交尾と思われます。
時間も時間。しかも交尾もしていない…。
さすがにこの状況でリリースするのも採集するのも、
どっちも良いとは言えませんよね。
ということで一晩だけこの子と一緒に過ごすことにしました。
クロオオアリの女王アリを観察
実は有翅のクロオオアリ女王蟻を撮影したことが無かったので、この女王アリが我が家に来てくれたお陰で今回じっくりと写真を撮影することができたのです。
脱翅女王アリは既に何度か撮影していますので、下に比較で画像を掲載しておきます。
こちらがクロオオアリの脱翅女王アリ。いわゆる”女王アリ”といえばこの脱翅した状態ですよね。
この女王アリ。約3分ほど固まった状態のいわゆる”サービスタイム”を私に下さったので、いろんな角度から撮影してみました。
蟻の撮影で大変なのは蟻が止まってくれないことですが、今回のように突然動きがストップすることがあるのでそこが撮影の狙い目です。こちら(上画像)は正面から見た様子。
次に、もう少し寄って見てみましょう。
クロオオアリ女王蟻の大腮(たいさい)。よく発達しているのが分かりますね。これで噛まれると人間でも痛みを感じるほど強いのです。
続いてクロオオアリ女王アリの横顔。この個体は頭部の頬付近が赤みを帯びた色をしています。クロオオアリではこのように若干赤色が混ざる個体が度々見られますが、私自身、女王アリでは今回初めて見ましたね。
今度はクロオオアリの頭部を斜め前から全体的に写してみます。大きな複眼とほんのり赤い頬が可愛らしいですね!
複眼をもっと近くで見てみましょう。細かい形状をしています。また、頭部には細かい点状の模様が刻まれていますね。
また、イチゴの表面みたいな点々からは細かい毛が生えているのが分かります。
こちらはクロオオアリ女王アリの翅。茶色から飴色で美しい色彩ですね。翅脈ははっきりしていますが、これはアリの羽の特徴です。
最後に、羽の基部を写してみました。結婚飛行で交尾を済ませた女王アリは、自らこの基部から羽を切り落としてしまいます。この女王アリはまだしっかり羽が残されていますので未交尾個体で間違いないでしょう。
終わりに
たまたま我が家のベランダに迷い込んできたクロオオアリの女王アリですが、こうしてじっくり観察する機会を与えてくれたみたいで感謝ですね!
ちなみに、翌朝も羽を落としていませんでしたので日中の暖かい時間帯にリリースしました。
どうか雄アリたちと巡り合って、この土地に新しい巣を作ってほしいですね。