アメイロオオアリ

2019年7月中旬にアメイロオオアリの大規模な結婚飛行に遭遇しました。その際、採集する道具を持っていなかったので、写真撮影のために3匹有翅の女王アリを採集し持ち帰りました。それから3ヶ月に渡りこのアメイロオオアリを観察し、働きアリが複数誕生するまでになりましたが、アメイロオオアリの飼育についての情報が少なかったので、簡単にまとめさせていただきます。

アメイロオオアリの結婚飛行

まず、アメイロオオアリの結婚飛行は通常9月ごろと言われています。しかし、私がそれを確認したのは7月中旬でした。類似種にケブカアメイロオオアリというやや大型の種類がおり、7月ごろ結婚飛行をおこないます。ただ、当該地域でケブカアメイロオオアリの生息は確認されておらず、その形状からもアメイロオオアリだと考えられます。

電灯に集まるアメイロオオアリ
結婚飛行の時間帯は日没後午後8時ごろから深夜にかけて行われ、周辺の街灯に数千単位で大量に発生していました。(街灯に近づくと私の体にも大量に付くほどです。)

ちなみに午後9時ごろ地面を歩く新女王アリを採集しましたが、その時間帯は全て有翅の女王アリで脱翅している個体は見られませんでした。脱翅した個体を採集するのであれば深夜に採集するのが良いのかもしれませんね。

アメイロオオアリの女王の写真を撮ってみる

アメイロオオアリ
まず、採集した時点ではアメイロオオアリとは考えておらず、ミカドオオアリとか何かしらのオオアリだろうという程度で考えていました。
とりあえず有翅の状態で写真を撮ることを目的に、その時カメラを持っていなかったためこの3匹を自宅に持ち帰ることにしました。

アメイロオオアリ
ですが、見慣れない色などから考えてみると、アメイロオオアリっぽくない?という感じで気づき、写真を撮るとほぼ間違いなくアメイロオオアリ!という事がわかりました。

アメイロオオアリの女王アリ

なぜ7月に結婚飛行があったのか

そもそも、9月に結婚飛行するはずのアメイロオオアリがなぜ7月に結婚飛行したのかが疑問ですよね。これについては私もよくわかってませんが、地域差の様な気がしてます。採集地域(薩南諸島南部)は一年を通して温暖な場所であり、本土よりも条件的に早く結婚飛行が行われている可能性があります。
※また、いろいろな資料の中には4月5月に結婚飛行が行われると記載されているものもありますが、本土での結婚飛行は9月ごろが正しいと思われます。

女王アリの脱翅と産卵

採集後、数日間は脱翅しない状態が続いたため、未交尾の個体だと考えていました。その後も自宅では小型のプラスチックケースにティッシュを詰めて保湿する簡易的なケースに入れて観察を継続していると、採集後9日目に1匹だけ脱翅(不完全)と産卵を確認。

アメイロオオアリ
全て未交尾個体と考えていたところ、交尾済みの個体が混じっていたことに驚きました。ある程度時間が経過していても、巣内に定着して安定するまでは脱翅しないこともあるのかも知れませんね。

最初の働きアリ

産卵を確認してからすぐに巣を平型の石膏飼育ケースに移し替え、振動や光の入らない場所で保管をします。アメイロオオアリは夜行性のため、光はストレスになる可能性があります。1週間に1回ほどの確認に控え、写真撮影も控えました。もちろんエサなども与えません。その後順調に幼虫から蛹へと成長し、45日ごろから繭が黒くなり始めたため観察の間隔を短くしていきました。

最初の働きアリ
すると採集から49日目、産卵から40日で最初の働きアリが羽化。その後も繭から次々と働きアリが誕生し、2ヶ月で5匹の働きアリが羽化しました。

アメイロオオアリ
2019年10月となりちょうど3ヶ月が経過しましたが、8匹の働きアリが誕生しています。

アメイロオオアリの飼育ケースについて

飼育ケース
樹上営巣性または朽木などへの営巣のため高湿度条件での飼育は好まれないと考えられますが、現在は平型石膏飼育ケースで飼育しております。条件的に湿度が高くなりがちですが、この初期コロニーで問題が発生したことはなく、そこまで問題ないのかな、と考えられます。コロニーが大きくなると平型ケースだとスペースが足りなくなるため、試験管巣や3Dプリンター巣などに引越し予定です。

▼アリの平型飼育ケースについてはこちら

アメイロオオアリの餌について

餌については他のオオアリと大きく異なる点は現状ないため、難しく考える必要は無さそうです。
女王アリ単体の時は、プロゼリーやメープルシロップを与えます。これも頻繁にやる必要はなく、採集直後や産卵後などに適宜与えます。もちろん女王アリ単体の時点でエサを与えなくても問題ないと思われますが、私は3個体全てに与えました。プロゼリーについては最初の食いつきが非常に良いため有効です。

働きアリ誕生後もプロゼリーやメープルシロップ、スイーツパウダーなどの蜜エサを中心に与えます。働きアリが数個体の時に生き餌を与えるとパニックを起こすため、そのまま与えずかなり小さくカットしてから与えます。またはプロテインパウダーや乾燥赤虫を与えます。

▼アリのエサについてはこちらの記事も参考になります

飼育温度について

アメイロオオアリは暖かい地域のアリのため30度を上限に管理すれば問題ありません。また、冬場の冬眠については、無理に寒い環境を作る必要はないでしょう。室内管理であればそのままの状態で問題ないと思われます。(来年冬を越してから再度詳細を追記します。)

まとめ

アメイロオオアリというとちょっと珍しい?と思われるかもしれませんが、生息地域では大規模な結婚飛行が見られるようで、レアなアリという訳ではないようです。どうしても夜行性だから「普段見ない=珍しい」と捉えてしまいますが、意外とそうでも無いのかもしれませんね。
とは言え、ネットなどで出回ることも少ない種類なので、飼育の情報や生息エリアの情報が少ないのも事実かもしれません。私もまだ3ヶ月程度の飼育期間なので詳しい部分が不明ではありますが、飼育してみた限り特別に難しい種類のアリでは無いと思います。
今回の結婚飛行の時期のズレなど情報の少なさがありますが、もしも旅先でも地元でもアメイロオオアリの新女王を見つけたらぜひぜひご自身の手で飼育にチャレンジしてみてください!そして、なにか新しい情報があればコッソリ教えてくださいね〜。

追記

1匹の女王が順調に働きアリを増やしていった中、他の2匹がどうなったかというと、実は相当期間を置いて1匹が脱翅〜産卵をしました。正確に期間を測っていませんが、だいたい2ヶ月経過後に突然産卵をしたことになります。

アメイロオオアリの女王
既に3〜4匹ほどの幼虫も誕生しており、今後が楽しみです。無精卵でなければいいのですが…。

さらにもう1匹はまだ有翅の状態ですが、産卵しては食卵してを繰り返しています。こちらは無精卵の可能性もありそうな感じがします。この2匹についても何か動きがあればこの記事に追記更新していきます!!

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