蟻を飼育する方法のひとつ、テラリウム。
蟻をテラリウムで飼育して観察することは比較的昔から行われています。
特に海外では、大規模な容器(水槽)に自然な環境を再現して蟻を飼育する愛好家なども多く、ネットやYouTubeなどでも見ることもできますよね。
私も「あんな環境を作ってみたいな〜」なんて思う訳ですが、日本の狭い部屋ではなかなか実現できないのも事実。
でも、簡易的なものであれば私もご紹介できる蟻テラリウムを複数所有しています!
ということで今回は、私が蟻飼育で作成・使用している蟻テラリウムをいくつかご紹介させていただきます。
目次
蟻テラリウムってどんなもの?
蟻のテラリウムは最近では「アリリウム」とも呼ばれているみたいです。
アリリウム。良い名前ですよね!
さて、蟻テラリウムはどんなものでしょうか。
例えば、「苔テラリウム」って言えばみなさんもご存知ですよね。
こんな感じのコケリウム。
蟻テラリウムは、このようなコケリウム(苔テラリウム)と組み合わせて作られることが多く、最近では最もポピュラーです。
想像してみてください。
「苔の生える湿った林床を蟻たちが活動する様子を家の中で見ることができる!」
どうですか?ワクワクしてきませんか??
私はめっちゃワクワクしちゃいます!
ですが、実は私が作っている蟻テラリウムは苔を使っていないのです…。
以前、苔テラリウムにハマっていたこともあり、コケリウムに蟻を住まわせることは出来なくないのですが、ある問題点が…。
私の蟻テラリウムは苔が無い…その理由
その理由が、苔は根を張らないという点です。
その何が問題なのかを考えてみましょう。
ほとんどの蟻(地中性の蟻)は穴を掘る習性があります。
そこがコケリウムの中だとしても、ところ構わず掘っては地形を変えてしまうのです。
土飼育をするとわかりますが、毎週のように土表面の形状が異なります。上の写真を見るとわかりますが、掘る→山を作る、の繰り返しでせっかく作ったレイアウトが全く違うものになってしまうこともしばしば。
蟻の種類によって結果は違うものになりますが、大型の種類や頭数の多いコロニーを導入した場合には、テラリウムの苔を剥がされてしまう…。という結果になってしまうこともあるようです。
もちろん、あまり土を掘り返さないアリや、頭数の少ないアリ、小型のアリなどであれば苔テラリウムとの共存は可能でしょう♪
事実、苔テラリウムで蟻を飼育されている方もたくさんいらっしゃいます。
ただ、私のレベルではちょっと難易度が高く感じましたので、今回は私が実際に作成・使用している蟻飼育テラリウムをご紹介していきます!
私の蟻テラリウム
ハリアリの蟻テラリウム
こちらは、最新の蟻テラリウムです。現在、絶賛飼育管理中。
飼育している蟻は、テラニシハリアリという3~4mmのハリアリです。選定の理由は、あまり土を掘り返さない点と、小さすぎない、という点ですね!
蟻を投入してから1ヶ月程度経過したときの様子。
植物にはシダ植物のネフロレピス・マリサを導入しています。
ネフロレピス・マリサは温暖な地域のタマシダの一種ですが、耐陰性・高湿度の条件に強い植物であるため選びました。
2~3ヶ月経過後のネフロレピス・マリサの状態。成長して緑が大きくなっていますね!
簡単に、蟻導入までのスケジュールをご紹介します。
- シダを親株から株分け・安定化
- シダのテラリウム作成
- シダの生育期間(2ヶ月以上)
- 蟻の投入
実は、蟻を投入するまでに結構な期間を設けています。
この蟻テラリウムの場合、蟻以外にもシダ植物を同時に育てます。そのため、「シダを育てる」という点と「蟻を飼育する」という点の2点を両立しなくてはなりません。
蟻だけに目が行ってしまうと、「シダの生育が上手く行かない…」なんてことに成りかねませんので、植物をレイアウトする場合は、養生期間をしっかり設けておきましょう!
むしろ、この蟻テラリウムについてはネフロレピスがメインで蟻はサブ要素として考えています。
現在(2021年5月)、この蟻テラリウムは年明けから(4ヶ月程度)の飼育実績のため、この先問題が起こらないとも言えません。
ですが、テラニシハリアリを問題なく飼育できているため、蟻を飼育する環境としては良好だと言えるのではないでしょうか。
トゲアリの蟻テラリウム
こちらは植生の無いゲージです。
ダイソーのプラケース(300円)に流木を設置し、土を床材にした環境です。
蓋にはメッシュを付けることで風通しを良くし、乾燥と加湿を両立(屋外を再現)しています。
現在は、乾燥させた流木に巣があり、手前に設置した石を水飲み場として使用しています。
巣付きの蟻テラリウム
こちらは、以前もブログやYouTubeで紹介した蟻テラリウムです。
実はこの飼育環境はまだ未使用です・・・。
何といいますか、もったいないのですよね。
キレイに作ることができたので、汚したくない、それに飾っておきたい・・・。
構成は、地中を模した石膏巣と地上部の組み合わせで、地中の巣の断面をテラリウムにしたような感じです。
巣内は多湿環境になるため、クロオオアリやクロヤマアリ、大型ハリアリなどに向いていると思います。
ウロコアリの蟻テラリウム
こちらのテラリウムは、100円均一のコップを使ったコスパ最強のテラリウムですね。
元々、苔テラリウムに使っていたコップですが、現在は蟻テラリウムとして活用しています。
植物などは一切使わないシンプル設計なのでちょっと寂しく感じるかも知れませんが、意外と良いですよ。
作り方は、とっても簡単!
- 赤玉土を細かく粉砕し、水を加えて練る
- 活性炭粉末を少量加える
- コップに土を適量入れ、締め固める
- 中心に窪みをつくる
- お好みの石をセットする
- コップのフチに薄くベビーパウダーを付ける
石の下に小さな窪みを作ることで、そこに蟻が巣を作ってくれます。
また、乾燥を防ぐため、コップにフタをしても良いかもしれません。
私は毎日霧吹きで加水しています♪
とっても小さなテラリウムなので、ウロコアリや小型ハリアリなどに最適な蟻テラリウムですよ。
ちなみに、「これだとちょっと寂しいな」と思われる場合はアクセントに苔を入れてもOKです!
アギトアリの蟻テラリウム
こちらは、アギトアリの記事でもご紹介したことがある蟻テラリウムです。
「テラリウム」と言ったら怒られてしまうかもしれませんが、私の中では”蟻テラリウム”なのでご紹介します!
作成方法
- ダイソーの300円ケースのフタをメッシュ加工(通気口作成)する
- 赤玉土と活性炭粉末(少量)を混ぜて細かくする
- 水を加えて混ぜ合わせる
- ケース半分に盛り土し、締め固める
- ケース半分に乾燥した赤玉土を適量入れる
- 石などをレイアウトする
これで一応完成です。めっちゃシンプルですね。
ちなみに、この蟻テラリウムにはもう少しだけ細工をしています。
それが、「土の山の内部には石をたくさん入れて崩落を防止している」、「ソレイロリアという植物を入れて根を張らせている」という2点です。
実は、アギトアリなど土を掘り返して巣を作る蟻の場合、土中に巨大な空間を作ります。
このとき、土の天井が自重で支えられなくなり崩落してしまうことがあります。
それを防止するのが”石”であり”植物の根”だと私は考えています。
もちろん、土だけの飼育環境でも問題は無いですが、蟻たちにとって石などの障害物は巣作りのプラスになる場合もあるため、ぜひ参考にしていただければと思います。
まとめ
蟻を飼育する目的は、人によって様々です。
ある人は、癒やしを求めて蟻を飼育しているかもしれません。
またある人は、蟻をじっくり観察したくて飼育しているのかもしれません。
いやいや、ガラスケースの中に一つの世界をつくりたい、と思って飼育されている方もいるでしょう。
蟻のテラリウムは、こういった蟻飼育をされている方々に実は相性がばっちりなのです。
今現在は、蟻飼育といえば「巣の中を観察できる飼育キット」がスタンダードだと思います。
ですが、自然を模した蟻テラリウムという環境での飼育には、それには無い面白さがあるはずです。
私自身、蟻テラリウムというアリの飼い方はすごく良いと思いますし、巣の中を観察できる飼育キットでの飼い方もいいと思います。
結局は、「自分はどんな飼育をしたいか」という考えに委ねられるわけですが、蟻テラリウム(アリリウム)での飼育、めっちゃ良いですよ。
皆さんも、普通のアリ飼育に加えて、蟻をテラリウムで飼う、というオシャレな飼育にチャレンジしてみてはいかがですか?