「サクラアリ」ってご存知ですか?名前がキレイで、桜の季節の蟻なのかな?って思うかも知れませんが、特に桜とは関係のない蟻です。このサクラアリですが、近年、より有名になってきた感があります。何故有名になってきたのか。それは、
「家屋害虫」になってしまったからです。
ちょっと悲しい理由ですよね。昔はどうだったかというと、そんなに家屋に侵入する種類では無かったそうで、それに加えて特に有名になるほどの特徴や形、大きさでも無かったので、人に覚えられるほどのアリでは無かったようです。
今回は、そんな不遇の時代を生き抜く「サクラアリ」をピックアップして、その特徴や害、また飼育する方法などについてもご紹介していきます!
目次
サクラアリとは?
サクラアリとは、ヤマアリ亜科サクラアリ属の蟻です。特徴は、その小ささです。働きアリは1mm〜1.5mmと非常に小さく、肉眼でギリギリ追えるレベル。そのため、その場所にいても意識しない限り気づくことがほとんどありません。
また、和名の「サクラ」と学名の「sakurae」という名称ですが、植物学者である伊藤篤太郎(いとうとくたろう)の長女「さくら」の名前に因むものです。
分布
北海道から本州、四国、九州にかけて、および南西諸島(鹿児島県)まで分布しています。このことからも、温帯域のアリといえそうです。生息する場所は、草原や裸地、浜辺、林、都会の植栽エリアなど非常に広範囲でみることができます。2018年現在は、最も一般的に見られるアリのなかの一種ですね。
特徴
淡褐色で、ちょっと普通のアリとは違う色をしています。淡褐色で1.5mmほどの小さなアリであれば、サクラアリの可能性が高いです。とはいえ、小さくてなかなか同定するのは難しいと思いますので、形態的な特徴はここでは省きます。詳細を確認する場合は、日本産アリ類画像データベースなどで確認してみるといいですよ!
家屋害虫としてのサクラアリ
さて、近年の家屋害虫としての側面がサクラアリを有名にさせてしまっているわけですが、一体どんな害虫となってしまったのでしょうか。それは、家の中に営巣してしまうことで、室内に発生してしまう不快害虫となってしまったことです。蟻を飼育するのが趣味の僕でも、家の中で蟻が毎日うろちょろされるのは困ってしまいますね。
でも、家の中に巣を作ってしまうなんてなかなか考えづらいですが、意外とアリの室内への営巣は問題となっているそうです。このサクラアリ以外にも、ルリアリやイエヒメアリ、アワテコヌカアリなどが家屋害虫として台頭してきています。
サクラアリは家屋内に営巣することがありますが、働き蟻が列をなして家屋内に侵入してくることはあまり多くありません。壁の中や床下空間、屋根裏などの普段人目につかない場所にたまたま女王アリが営巣し、そこでコロニー(巣)が作られることで問題になっています。小さいので普段はなかなか目につかないようですが、羽アリを発生させるときに室内に大量の羽アリが発生して、サクラアリに気づくことになるようです。
家屋内のサクラアリ、10月〜11月が要注意
サクラアリは10月から11月に繁殖のために新しい女王アリとオスアリを巣から飛ばします。そのとき、ある一定の条件が重なったタイミングで一斉に羽アリを巣から旅立たせます。その時、家の中に巣があると、壁の隙間などから大量の羽アリが出てきて大変な不快害虫となってしまうのです。
羽アリの発生条件
- 10月以降の暖かい日の午前中
- 無風から風速2〜3mくらいまでの風
- 12月にも発生することがある
しかも、羽アリといえば「シロアリ」が頭によぎる訳ですから、自宅に発生したらいい気分じゃないですよね。でも、時期的にシロアリではありませんからその点は安心っちゃ安心です。
屋内で巣を作られた場合の対処方法
サクラアリに巣を作られた場合は、まずは自分で駆除するのがおすすめです。どんな駆除方法があるかというと、毒エサを使う方法が最も効果的でした。というのも、以前家でサクラアリと思われる蟻(昔なので確信がありません…)が発生していて止まらないことがあったんですよ…。そのとき、とある薬剤が唯一効いたので、一応体験談としてご紹介します!
実際にやってみたこと
潰す
まずは、見つけ次第潰していました。そんな数が多くなければコレで全然いいのですが、潰しても収束しないのに気づいたときの潰す無意味さと言ったら…。多分家に蟻が出現したら誰でもやると思うんですが、その場しのぎにしかなりません。
ガムテープでくっつける
これも潰すのと全く同じでした。ガムテープがもったいないだけです。
殺虫剤を撒く
家にある〇〇ジェットみたいなスプレーを壁の隙間などのサクラアリが出没している箇所にスプレーしてみました。これが結構効果があって、数日くらい出てこない日が続いたのですが、ある日普通に再発しました。
後々調べたのですが、どうらや市販品には蟻が嫌がる成分が含まれているようで、それを嫌がったのか逃げたのか分かりませんが一時的に居なくなったようです。その成分もずっと残っているわけではないので、消えた時点でまた再発するから、これも実は効果があったようで全く無意味!
アリの巣コロリを使う
巣ごと駆除できるらしい、との情報から「スーパーアリの巣コロリ」を設置して様子を見た時期もありました。アリの巣コロリは、エサに薬剤が混ぜられている毒エサで、これを働き蟻が吸ったり持ち帰ったりすることで、仲間と分け合ったのち巣ごと崩壊させるという、アリ好きからするとちょっと使いたくない殺虫剤なのです。
しかしサクラアリの好みではないのかこちらも全然効かず。
アリメツがすべて解決してくれた
名前からしてちょっと怖い薬剤ですが、結局このアリメツという毒エサを使い駆除することができました(多分)。多分というのは、いつの間にか部屋に出てこなくなったので、多分駆除できたんだと思います。アリメツもアリの巣コロリと同じ毒エサ剤ですが、サクラアリはこちらの蜜のほうが好みだったようです。
アリメツを出てくるポイントに仕掛けて、放置。
これを結構長く続けていました。吸ってはくれるけど、止まらない。でも、ちょっとずつ減ってる気がする。たまにアリメツに鶏肉の汁などを混ぜたりもしてみましたが、これも効果があったのか、いつの間にかサクラアリが出てこなくなったわけです。
以上が僕の体験です!上記からもわかるように結構サクラアリは駆除するのが大変な種類のようです。もしかすると、巣によって毒エサの好みが違うかもしれないので、もしサクラアリが室内に発生して困っている!という状況の方がいれば、アリメツだけじゃなくて色々な毒エサ剤を試してみてもいいかも知れません。
サクラアリを飼育する
サクラアリを駆除した経験のあるのに何を言ってる!と怒られそうですが、サクラアリは飼育することができます。
まず、必要なこと
まず、サクラアリを飼育する場合、サクラアリを探さなくてはいけません。とはいえサクラアリはとっても小さいので働きアリを探すのではありません。探すのは「女王アリ」です。他のアリにも言えることですが、女王アリを採集できなければ長期的な飼育はできません。
女王アリを探す
女王アリを探すのなんて無理でしょ!と思うかも知れませんが、羽アリの時期が女王蟻を採集するタイミングです。サクラアリは10月から11月に羽アリを発生させますので、その時期であれば意外と簡単に女王アリを手に入れることができるでしょう。
女王アリの形を知る
サクラアリの女王アリは、茶褐色〜淡褐色の体色をしています。土と色が似ているので、黒いアリよりも見つけにくいかも知れません。上からみると、お腹が大きく普通のアリよりも太った体つきをしています。5mmほどの大きさです。
探すコツ
羽アリを飛ばすタイミングに合わせて採集しないと女王アリは見つかりません。ですから、下記の点に注意してみてください。
- 暖かくて風のない日を選ぶ
- 正午前〜昼過ぎが見つかりやすい
- 10月から11月がベストだけど12月に飛ばすこともある
- 公園などの土が露出している箇所で探す
- 草が多いと見つけにくい
- 周辺に死んだ羽アリを運ぶ他の種類のアリが歩いている
上記に注意すると意外と簡単に見つけれれます。1匹見つけられれば、その周辺には複数の女王アリが見つかるはずです。
採集したら
採集したら、女王アリは別々に分けてあげましょう!女王同士で殺し合いをしてしまうためです。アリの種類によっては、多雌コロニーといって女王アリが協力しあって巣を作り上げるものもありますが、サクラアリは違います。サクラアリは単雌といい一匹の女王アリで巣を作り上げます。
女王は1匹で越冬する
基本的に女王アリは越冬して次の春を迎えると産卵します。そのため、女王を採集したら越冬するためのケースに入れる必要があります。
飼育ケースは、自分で作成するか、購入する方法があります。簡単なのは購入する方法です。下記にアリ専門ネットショップの記事をまとめましたので、参考にしてみてください。
女王アリは特に世話をする必要はありません。飼育ケース内の水分さえ保っていれば、基本的にエサも与える必要はありません。女王アリは最初の働き蟻が誕生するまで、自分のお腹に蓄えた栄養だけで生き続けることができるのです。
働きアリが生まれたら
働きアリが誕生するまでは結構な時間が必要です。翌年の5月や6月までかかることもしばしば。働きアリが生まれてからはエサを与えたり飼育している感がでてきますよ!アリ飼育の全貌は、こちらの記事にまとめておりますので、こちらもご覧ください!
最後に
いかがでしたか?サクラアリは不遇な時代を生き抜く小さな蟻です。家の中に巣を作られたら困るけど、実際は小さくてすごく可愛い種類なんですよね。もっとも、外に出ればどこにでもいる蟻ですから、人間と同じ環境でうまく共生できるのが一番なんですけどね。
ということで皆さんも、この小さな小さなサクラアリを見かけたら、なるべく駆除することのないように、温かい目で観察してあげましょう!