アリって黒くて小さくてパッと見ただけじゃ違いなんてわからないですよね。
でも、たまに「一際大きいアリ」、「でかいアリ」を見ませんか??1~2センチくらいの大きさのアリです。「うわデカ!」ってなるほどアリにしては大きなサイズ感に、思わず大人ながらじーっと見てしまいますよね。ということで、今回は日本に生息するアリで1番大きなアリは何アリなのか?調べていきましょう!
アリは日本に280種以上!
日常的に見かける蟻ですが、沢山の種類がいるなんて知らないですよね。でも、日本には300近いアリが確認されているのです。みんな同じだと思っていたアリも、もしかしたらそれぞれ違う種類のアリなのかもしれません。今回は膨大なアリの中から日本最大種をご紹介します。
日本のアリ 大きさランキングTOP2+4種
日本で最も大きなアリは同率1位で実に2種存在します。カタチはほとんど同じ。でも違う。そんなこの2種が日本最大のアリとして君臨します。
第1位 クロオオアリ
まず最初はクロオオアリ。読んで字のごとく、黒くて大きなアリ。体長は7mmほどの小型ワーカー(働きアリ)から、12mmほどの大型ワーカーまでサイズの振れ幅がある種類です。アスファルトや歩道を堂々と歩く大きな黒いアリはクロオオアリの大型ワーカー(メジャーワーカーともいいます)で間違いないです!
さらに、実は超大型サイズの階級が存在します。その大きさ18mmにもなります。約2センチの巨大アリですが、それはクロオオアリ の女王アリです!
普通、女王アリは巣の中から出てこないので見ることはできません。
しかし、新たな巣を作るために、ある一定のシーズンだけ新女王を巣から旅立たせます。クロオオアリの旅立ちシーズンは5月。
5月、運がいいと旅立ってから巣を作り始める前の新女王アリに道端で遭遇できるかもしれません。
見かけたら余りの大きさに、「えぇ!??」と絶対なります。でも、彼女たちは人には悪さをする生き物ではないので、そっと旅立ちを見届けてあげてくださいね!
ちなみにこのクロオオアリ 。実はアリの中では超普通種なのです。南西諸島の一部を除きほぼ日本全国に生息するので、いわばありふれた存在。
レアキャラが1位になるのが世の常かと思っていましたが、極めて普通なアリがまさかの日本一のアリなのです。
しかし、同率1位のアリがまだ1種います。
同率1位 ムネアカオオアリ
読んで字のごとく、胸が赤い大きなアリ。働きアリのサイズはクロオオアリとほぼ一緒で7~12mmです。ただの色違いでしょ?って言われても、そうです。としか答えようのないアリ。でも別種。大きな違いはカタチではなく生態にあります。
ムネアカオオアリは都会や住宅街にはいないアリです。森林性のアリで、朽ちた木に巣を作るため自然が豊かな環境でないと生息していません。なので山地帯から標高の高い亜高山帯まで分布しているようですね。
レア度はクロオオアリよりは高め。でもアリの中ではそこまで希少種ではありません。山に行けば普通に見られるのがムネアカオオアリです。
こちらの女王も5月から6月ごろに新女王アリを旅立たせます。ムネアカオオアリの女王も18mmほどで巨大!普通の働きアリよりも赤みが少ないですが、赤黒く艶やかで綺麗なアリです。
また、赤いのでしばしば「ヒアリでは!?」などとSNSであげられているアリです。全然ヒアリじゃありませんし、毒もありません。ご安心を。
アリの中では人気がすこぶる高く、身体も丈夫なためムネアカオオアリを飼育するアリファンが実はたくさんいます。
私も飼育していますが、女王のツヤツヤな黒色ボディと赤い差し色がキレイで美しくて見るたびに惚れ惚れしますね。働きアリも大きいため観察しやすくとても楽しいアリです。ですから飼育するにはオススメな種類です。
ちなみに、本州の中国地方以西には、「ニシムネアカオオアリ」という通常のムネアカオオアリよりも赤の色の部分が異なるアリも存在します。こちらも大きさは全く同じですから今回は「ムネアカオオアリ」と同じ括りでご紹介させていただきます。
ということで、日本で一番大きなアリは「クロオオアリ」と「ムネアカオオアリ」の2種類となります。この2種類はどちらも害の全く無い安全なアリです。駆除をしたり騒いだりする必要は全くありませんので、もしも道端やお庭で見かけてもそっと見守ってあげてください。
と、ここで終わりになるのですが、実はこの2種にも劣らない大きさのアリが日本にはまだ複数存在するのです。ただし、上記2種類に比べて生息エリアや一般度は低く、ご紹介してもこれらのアリに遭遇する可能性は低いかもしれません。ですが、折角なので簡単にご紹介させていただきます!
同率1位+α カラフトクロオオアリ
名前からして北国のアリっぽい響きですが、カラフトクロオオアリが日本の巨大アリの真打ちでもあります。カラフトは樺太のことですが、実は本州にもいるのです。
生息域は北海道。あとは本州中部山岳地帯。かなりポイントの限られたアリです。北海道については平地でも見られるようですが、本州の生息域はほとんどが国立公園に位置する超自然豊かな場所で見られます。
そしてもう一つの特徴は、寒い地域でないと生きられない。ということでしょうか。中部山岳地帯に生息しているのはそのためで、標高2000mを超えるような夏でも涼しい気候の場所でしか見ることができません。文字通り希少種です。
標高2000m以上の高地で撮影した個体
さて、カラフトクロオオアリなのですが、生息域が違うだけでパッと見はクロオオアリです。働きアリの大きさも7~12mmほど、女王アリも18mmほどです。しかし細かな違いは見られます。
- 女王は艶がある
- 女王はより四角い
- 前伸腹節後背縁はより角ばる
- 後縁の傾斜はより急になる
これくらいでしょうか。知ってる人が見たら明らかに違うアリだと区別ができます。
同率1位+α ケブカクロオオアリ
実はまだ私はこのケブカクロオオアリを見たことがありません。しかし、クロオオアリと同じくケブカクロオオアリの働きアリも女王アリも大型のサイズをしています。
上記の他のオオアリと区別する点は、頭部や胸部背面に立毛がたくさんあることで見分けます。ぱっと見ただけではクロオオアリやカラフトクロオオアリとほとんど同じに見えますが、よく観察すると簡単に見分けることができる種類でもあるのですね。主に山地の朽木に営巣するため、普段の生活ではほとんど見ることができない稀な種類と言えるでしょう。
同率1位+α ツヤミカドオオアリ
このアリは奄美大島のみに生息するアリです。そのため普通に生活している上では全くお目にかかれないアリでしょう。ですが、ツヤミカドオオアリの働きアリはなんと大きい個体で13mmにもなるのです。一番最初にご説明したクロオオアリの大型働きアリでも12mmと言われています。それよりも大きい働きアリが見られるということは、日本のアリの中で最も大きな働きアリはこの「ツヤミカドオオアリ」と言っても過言ではないのです。
同率1位+α ユミセオオアリ
トカラ列島や沖縄本島に生息する大型のアリで、大型ワーカーは最大12mmにもなります。今回ご紹介したアリとほぼ同じ大きさの巨大アリです。しかし、上記のツヤミカドオオアリと同様、生息地域が限られるため普段は見ることができないアリでもあります。
このアリは、頭部が黒褐色、胸部あら腹部にかけては赤褐色の体色を持ち、日本の中では珍しい色合いをしたアリです。多くのアリ愛好家の憧れの種類でもあり、私もこの目で見てみたいアリの一つですね!
まとめ
以上が日本で最も大きなアリです。みなさんが普段生活している中で見ることがあるのは基本的に「クロオオアリ」と「ムネアカオオアリ」です。「でかいアリがいる!」とびっくりされてインターネットで調べた方も多いと思います。
でも、実際には全く害のない可愛いアリの一種なのです。今回ご紹介したアリ6種類はどれも人に害を与えるアリではありません。決して駆除などはされずに、そっと見守ってあげてくださいね!
ちなみに、この6種はどれもヤマアリ亜科オオアリ属のアリたちです。似た者同士が揃い踏み。オオアリ強し!ですね。
▼ムネアカオオアリの引越し動画です!ムネアカオオアリを動画で見たい方はこちら↓